子どもの意見に流されない
人生の大切な決断をする際、お子さんの意見に耳を傾けることは重要です。しかし、それが100%お子さんの意見に従うことを意味するわけではありません。
お子さんを持つ親が60代を迎えた時点で、親子間の関係も再考する必要があります。とくに、親がお子さんを甘やかしたり、逆に自分がお子さんに甘える関係性は、ここで終わりにしたいもの。なぜなら、お子さんとの関わり方が原因で、高齢者が自分の幸せを追求できなくなるケースがあるからです。
たとえば、ある資産家が残念ながら配偶者と死別し、その後しばらくして再婚を考えたとしましょう。このような場合、お子さんたちはよく「再婚相手は財産目当てに違いない」と反対します。
一方、資産家などの富裕層ではない場合。お子さんたちは再婚を素直に歓迎するケースが非常に多いのです。「よかったね、二人で幸せに暮らしてね」と祝福してくれるのです。この現象は、資産を持つ人が逆に自由な選択がしにくくなることを示しており、私はこれを〝お金持ちのパラドックス〞と呼んでいます。
欧米では、このお金持ちのパラドックスに悩む人はほとんどいません。資産があってもなくても、再婚したい人は自分の意思で再婚しています。周囲の反対や批判に左右されず、本人が幸せになるための行動が重要視されているのです。
日本でも、いくらお子さんが反対しても、最終的には自分の気持ちに従うことが大切です。一人で寂しく過ごすよりも、自分と一緒に生活してくれる人がいるほうが、より心豊かで幸せな第二の人生を送れるでしょう。
和田秀樹
精神科医
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