なんとなく「定年延長」「再雇用」は危険すぎる
「今の組織から離れても、経済的にやっていける自分」を一刻も早くイメージしておくことが大切です。
私の知人に元官僚がいます。彼は優秀だったのでしょう、定年後、特殊法人にいわゆる〝天下り〞をしたのですが「来年(65歳)で定年なのだ」と明かしてくれました。
よくよく聞いてみると、彼は天下り先でもうまくやっていたようです。むしろ成功を収めたと言ってもよいレベルのようですが、ルールはルール。「お前はいいよな、医者というのは定年がないから」と羨ましがられてしまいました。たしかに医者や弁護士のような有資格者は、定年に関係なく働き続けられます。
また、肩書がなくなったらどうするか、早くから考えることをお勧めします。欧米では会社のなかでもファーストネームで呼び合う文化があります。スティーブ・ジョブズも組織のなかでは「スティーブ」と呼ばれていましたし、部長であっても「トム」だったりするわけです。肩書がなくなっても呼び名は変わりません。
しかし日本では、「課長」「部長」といった肩書で呼ばれることが多いので、定年を迎えて肩書がなくなった途端に「おじいちゃん」「おばあちゃん」になってしまうのです。つまり肩書がなくなった途端に〝名無しの権兵衛〞状態になるわけです。
日本では下の名前で呼び合う文化がない以上、肩書がある間にしっかり自分の未来を設計しておくことが大切です。
つまり官僚や大企業などで華々しく活躍していても、そこには〝定年の壁〞があって、結局そのキャリアは終わってしまうんです。たとえ天下りできたとしても、それだって、いつかは切られる運命ですからね。よしんば定年のない取締役になれたとしても、任期は1〜2年。万一嫌われでもしたら、解任されてお役御免です。

