(※写真はイメージです/PIXTA)

今年の『土地白書』が公表されました。それによると、2024年1月1日時点の全国の地価は、住宅地・商業地・全用途平均のすべてにおいて4年連続で上昇。経済活動の再活性化や低金利環境が下支えし、地価の上昇幅も前年を上回る水準となりました。全国平均で見れば順調な上昇が続いていますが、都市部と地方、商業地と住宅地といった地価の傾向には明確な差異が現れています。このような傾向を読み解きながら、背後にある構造要因や今後のリスク要因について考えていきます。

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    分岐点にある地価上昇の行方

    公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会による「不動産市況DI調査」では、企業が感じる地価の上昇感(実感DI)は、関東で11.8ポイント、全国平均で8.1ポイントと、ポジティブな見通しが維持されています。

     

    しかし3ヵ月後の見通し(予想DI)になると数値は軟化し、全国で1.5ポイントにとどまりました。これは、景気の先行きに対する不透明感や、金利上昇リスクなどが影を落としているものと考えられます。

     

    全国的には上昇が続く地価ですが、上昇要因には限界も見え始めているという専門家も。半導体工場誘致や観光回復といった成長ストーリーがある一方で、人口減少や災害リスク、資材費高騰などの逆風も。住宅ローン金利がわずかでも上昇すれば、特に地方の住宅地にとっては大きな下押し圧力となりかねません。また、2025年以降の経済政策やインフレ動向によって、資産価格に対する投資家の態度が一変する可能性もあります。

     

    今後の地価動向は、このような不確実性と成長期待のはざまで揺れ動くことになりそうです。

     

    [参考資料]

    国土交通省『令和7年版 土地白書』

     

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