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採算は悪化傾向、価格改定には限界も
日本政策金融公庫が発表した『全国小企業月次動向調査(2025年4月実績・5月見通し)』によると、2025年4月の売上DI(業況判断指数)は▲12.3と、前月(▲6.3)から6.0ポイントの大幅悪化となりました。5月の見通しはさらにマイナス幅が拡大し、▲15.6に達する見込みです。
業種別に見ると、製造業では▲21.3から▲16.5とやや改善の兆しが見られましたが、非製造業では▲4.5から▲12.0へと悪化。特にサービス業や卸売業、小売業などにおいて、消費マインドの冷え込みや物価上昇による実質購買力の低下が影響していると考えられます。
なかでも小売業では、耐久消費財・非耐久消費財ともに大幅な低下が見られ、5月には▲24.2という極めて厳しい水準が予測されています。これはコロナ禍後の需要回復が一巡し、消費者の節約志向が再び強まっていることを反映しているとみられます。
売上の減少に伴い、収益面も打撃を受けています。4月の採算DIは▲3.9と、3月の1.9から5.8ポイント低下。黒字企業より赤字企業が多い状態となりました。5月は若干持ち直して▲2.4の見込みですが、依然として採算は厳しい状況です。
一方で、販売価格の上昇に取り組む企業も増えています。直近半年間で販売価格を「引き上げた」と回答した企業は48.7%、「今後引き上げる」と答えた企業も46.3%と、半数近くに上りました。この背景には、原材料費や人件費の上昇があります。
しかし、価格改定が容易ではない現実もあります。「地元顧客の反応が心配で値上げできない」(食品小売業)、「価格交渉が困難」(アパレル卸)といった声が挙がっており、特に中小・零細事業者においては市場価格との兼ね合いが制約要因となっているのです。
