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業態別に見る売上の明暗…「中華」「麺類」は二桁成長だが
日本フードサービス協会がまとめた4月度の「外食産業市場動向調査」によると、日本の外食産業は前年同月比106.0%と好調な売上高を記録しました。春休みやお花見といった季節要因に加え、訪日外国人客の増加、各社の価格改定が追い風となりました。しかし、現場では原材料の価格高騰が続いており、経営の先行きを懸念する声も聞かれます。
まず全体では、売上が前年比106.0%、客数100.9%、客単価105.1%と、いずれも前年を上回りました。特に注目されたのがファミリーレストラン業態で、売上は前年比108.4%となり、「和風(110.8%)」「中華(114.3%)」が牽引しました。中華業態では、既存客向けの割引キャンペーンが功を奏し、二桁成長を達成。和風業態では食べ放題の訴求が奏功しました。
ファストフード全体も堅調で、売上は104.4%。特に「麺類」は家族需要や価格訴求が奏功し110.3%と高成長。一方で、「和風」業態は前月の異物混入報道の影響で客足が遠のき、客数は92.1%と大幅に減少。ただし、客単価の上昇で売上は100.5%と前年並みに踏みとどまりました。
喫茶業態では、観光地立地での集客増がみられたものの、全体の客数は101.2%と小幅な伸びにとどまりました。それでも価格改定の影響により、客単価は前年同月比109.8%と大きく上昇し、売上は111.2%と全業態中で最も高い伸びを示しました。
消費の二極化と値上げの影響…「安さ」と「贅沢」が並立
2025年4月の外食産業の特徴として、消費者の二極化傾向が顕著だったことも挙げられます。たとえばファミリーレストランでは、低価格志向のメニューが堅調な一方で、大型連休中には高価格帯メニューの注文も増加。これは節約一辺倒ではなく、「使うときは使う」というメリハリ型の消費スタイルが広がっていることを示唆しています。
一方で、4月から新たに価格改定(値上げ)を実施した企業も多く、客単価は全体で105.1%と高い伸びを示しました。ただし、この傾向が長期的に続くかは不透明。今後も原材料価格の上昇が継続する場合、さらなる価格転嫁には限界があり、消費者離れを招くリスクも否めません。
また、パブ・居酒屋業態は前年の寒暖差から一転、気候が安定したことにより売上103.7%と回復基調を見せていますが、客単価の伸びはやや鈍化。飲酒ニーズの多様化や、コロナ禍を経たライフスタイルの変化が影響している可能性があります。