60年、実家暮らしのくせに…母の死後「遺産ゼロ」の58歳次男。〈母の年金13万円〉で生活、自分の給料は貯金するセコい60歳兄の「遺産総どり」がまかり通るワケ【FPの助言】

60年、実家暮らしのくせに…母の死後「遺産ゼロ」の58歳次男。〈母の年金13万円〉で生活、自分の給料は貯金するセコい60歳兄の「遺産総どり」がまかり通るワケ【FPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

親の死は、誰にとっても避けられない出来事です。そして、その際には必ず相続が発生します。相続ではお金の問題だけでなく、さまざまな感情が交錯し、親族間で争いが起こることも少なくありません。そうした感情的なわだかまりは、時に何十年ものあいだ、心を重くしてしまうことがあるようで……。本記事では、佐竹さん(仮名)の事例とともに、きょうだい間の相続トラブルにおける注意点について、FP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

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母の死後、司法書士から告げられた「驚愕のひと言」

佐竹正人さん(仮名/58歳)は都内に住む会社員です。隣町に住んでいた90歳の母の葬儀を終え、兄の和夫さん(仮名/60歳)とともに母を見送り、ひと息着いたところでした。

 

正人さんと長男の和夫さんは、2人が高校生のころに互いの親が再婚した義理の兄弟。亡くなったのは長男の母、正人さんにとっては義理の母親でした。母は二人を本当の兄弟のように育て、正人さんのこともわが子同然に接してくれました。

 

「俺を本当の子どものように育ててくれたから……。恩返しをしたかった」

 

そんな家族だったからこそ、正人さんにとって母の老後を支えるのは当然のことでした。

 

対照的な兄弟

実際、正人さんは母が80代に入り要介護となった当初から、介護中心の生活を送ってきました。休日は隣の市から電車で足しげく実家に通い、買い物や掃除、役所の手続きに加え、母の通院にも付き添い、時には自ら排泄介助まで行っていたのです。

 

一方、長男の和夫さんはずっと実家暮らしでしたが、仕事にかこつけ、母の介護にはほとんどノータッチ。ヘルパーさんに任せきりにしていました。生活費は母の年金(月13万円)から捻出し、自分で稼いだ給料は貯金することで、自らの資産を溜め込んでいて……。

 

そんな対照的ともいえる兄弟は、葬儀を終え、相続手続きを行うために司法書士事務所を訪れました。しかし、そこで正人さんは思いもよらぬことを耳にします。

 

「残念ながら正人さんに相続権はなく、すべて和夫さんのものになりますね」

 

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