米中間で貿易協定の可能性浮上か
今月初めに、日米間で2回目の関税交渉が実施されました。米国側は「自動車や鉄鋼・アルミニウムなどの品目別関税を引き下げることに難色を示した」と報じられています。また、その後の共同通信社の報道やトランプ大統領の発言などでも相互関税は必ずしも脅しではなく、しばらく残る可能性も出てきているようにみえます。
実際、5月8日に米英両政府が合意した貿易協定では鉄鋼・アルミニウム製品を除き、少なくとも10%分の関税が維持されそうです。
また5月12日には米中両政府は関税の大幅引き下げで合意をしましたが、米英の合意をみるかぎり、今後、なんらかの貿易協定が締結されるとしても、双方が今般課した関税の一部は残る可能性があるでしょう。
相互関税が持つメッセージの分解
あらためてトランプ政権の相互関税は次の3つのメッセージに分解できると筆者は考えています。
1点目は「もう、あなた(=他国)から借金をしてまで、あなたのモノは買えなくなりました。なぜなら、利払いを含め、あなたへの債務の返済負担がとても重くなっているためです」との、いわば緊縮宣言です。
2点目は「でも、あなたがわれわれのモノを買ってくれるなら、あなたからお金を借りる必要はないので、その代金でもってあなたのモノを買えますよ」との、貿易の不均衡是正です。
3点目は「それでも、もしも、あなたがわが国からは買うほどのモノがないというなら、あなたが買いたいと思うようなモノをわが国で作って販売します」という、米国への生産回帰(=米国内での投資拡大)→米国内での生産拡大です。
「トランプ政権の政策」として、世間の注目を集めるのは2点目と3点目でしょう。

