個人事業主が食事代を不正に経費に計上していた場合のリスク
個人事業主の場合、プライベートな食事代を経費に計上すれば経費を水増しでき、納税額を抑えられるため、プライベートな食事代まで経費に計上するケースが見られます。本来、経費として計上できない食事代を経費として計上する行為は、経費の水増しに該当する不正行為です。
税務調査で食事代に関する不正が疑われるケース
税務調査時には、経費に関連する領収書もチェックされます。その際、同じ飲食店での領収書ばかり経費として計上されている場合や領収書の金額などを改ざんした痕跡が見られるケースなどは、食事代の不正計上が疑われるでしょう。
個人事業主の場合、従業員の数がそれほど多いわけではありません。また、法人に比べると事業規模も小さくなるケースがほとんどです。
それにもかかわらず、福利厚生費として処理されている食事代や会議費として計上されている食事代、交際費として計上されている食事代が高額な場合などは、プライベートな食事代まで経費に計上しているのではと疑われる可能性が高くなるでしょう。
経費の不正計上が発覚した場合は追徴課税がなされる
本来は経費として計上できない食事代を経費に計上していたことが税務調査で発覚すると、正しく確定申告をし直し、不足分の税額を納めるよう求められます。それだけでなく、過少に申告をしたことの罰金として過少申告加算税も課せられることとなります。
また、領収書を偽造していた場合や架空の領収書を作成していた場合など、悪質な行為があり、仮装行為と判断された場合には、過少申告加算税より税率の高い重加算税が課される可能性もあります。
過少申告加算税の税率は通常、不足分の税額が50万円までの部分については10%、期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分については15%です。
一方、過少申告加算税に代えて重加算税が課される場合、重加算税の税率は通常、35%であり、過少申告加算税よりも厳しい罰金が課されることになります。
事業関連の経費を否認されないために
事業に直接関連した食事代であれば、経費に計上することが可能です。しかし、事業との直接関連がない、プライベートな食事代まで経費に計上することはできません。交際費に上限額が設定されている法人に比べ、個人事業主には交際費にも上限額がないため、プライベートな食事代まで経費に計上することで節税を図ろうとするケースが見られます。
しかし、同業者や同程度の事業規模の個人事業主に比べ、会議費、交際費、福利厚生費など、食事に関連する勘定科目の額が大きすぎる場合、不正を疑われることになります。
たとえ、事業に直接関連した食事のための支出であっても、領収書やレシートがない場合や参加者や参加人数、目的などを答えられない場合、経費を否認される可能性もあります。
税務調査での指摘や罰金を避けるためには、日頃からプライベートと事業に直接関連する食事代をしっかりと区分し、正しく経費計上をすることが大切です。
また、事業に直接関連した食事代の場合には、参加人数や参加者の名前、会食の目的などについて記載したメモを残すことも忘れないようにしましょう。
松本 崇宏
税理士法人松本 代表税理士
お客様からの税務調査相談実績は累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線からの視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本
税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。税務調査相談実績は累計5,000件以上。一般業種より税務調査が厳しいといわれる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。
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