(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の利益が高くなればなるほど、納める額も高くなる法人税。納税の負担を減らすべく、経営者は日夜さまざまな節税手法を画策します。なかには節税ではなく“脱税”という不正行為で納税額をごまかそうとする企業も……。しかし、税務署はあらゆる手を使って脱税を見抜きます。では、具体的にどうやって違法行為を見抜いているのでしょうか。税理士法人松本の代表税理士松本崇宏氏が解説します。

法人と経営者個人の両方に「追徴課税」されることもある

法人税と所得税の両方で追徴課税される恐れもある

実際には勤務していない事業主の家族や親族に対し、架空の人件費を支給していた場合、法人だけでなく、経営者個人に対しても追徴課税がなされる恐れがあります。

 

勤務実態のない家族や親族に対して給与を支払っていた場合、この費用は、事業主に支給された役員賞与とみなされることになるのです。役員賞与は、原則として損金算入が認められていません。

 

そのため、親族や家族を使った架空人件費の計上をしている場合、法人に対して法人税の追徴課税が行われるだけでなく、経営者個人の所得税に対しても追徴課税がなされる可能性があります。

「正しい申告」が何よりの節税

架空人件費の計上は、脱税に該当する行為です。架空人件費の計上方法には、架空の人物に給与を支払ったことにする方法と勤務実態のない経営者の家族や親族に対し給与を支払ったことにする方法があります。いずれの場合も経費の水増しによって、納税額を不正に低く抑える行為です。

 

架空人件費の計上は脱税の手口としてよく行われるものであり、税務調査では、賃金台帳なども詳しくチェックしながら、架空人件費の計上がないかについて慎重に調査を進めます。

 

不審な点があった場合、市区町村に反面調査をしたり、従業員にヒアリングをすることで、架空人件費の計上はバレるケースがほとんどです。架空人件費の計上がバレると、法人税だけでなく、経営者個人の所得税に対しても追徴課税がなされる可能性があります。

 

少しでも納税額を抑えたいのであれば、正しく人件費を計上することが何よりの節税となることを忘れないようにしましょう。

 

 

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

 

お客様からの税務調査相談実績は累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線からの視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

 

税理士法人松本

 

税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。税務調査相談実績は累計5,000件以上。一般業種より税務調査が厳しいといわれる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。

 

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※本記事は、税理士法人松本の「税務調査ブログ」より転載したものです。

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