(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の利益が高くなればなるほど、納める額も高くなる法人税。納税の負担を減らすべく、経営者は日夜さまざまな節税手法を画策します。なかには節税ではなく“脱税”という不正行為で納税額をごまかそうとする企業も……。しかし、税務署はあらゆる手を使って脱税を見抜きます。では、具体的にどうやって違法行為を見抜いているのでしょうか。税理士法人松本の代表税理士松本崇宏氏が解説します。

架空人件費の計上がバレるとどうなる?

架空人件費の計上は、脱税にあたる行為です。税務調査で、架空人件費の計上がバレるとどのような罰則が科せられるのでしょうか。

 

修正申告と不足分の税金の納付が求められる

税務調査において、経費の水増しが発覚した場合、正しく申告をし直す修正申告が求められます。水増しした経費分は経費として認められないことになるため、所得から差し引ける経費の額が少なくなり、当初に申告した所得金額よりも所得額は高くなるでしょう。所得額が高くなるため、所得に対して課せられる法人税額は高くなり、納税額が不足した状態になります。

 

過少申告加算税が課される場合もある

修正申告では、不足分の税額の納税が求められます。さらに、不足分の納税だけでなく、納税額が少なかったことに対する罰金として、加算税の納税も求められるのです。

 

故意に架空人件費を計上したわけではなく、何らかのミスによって、結果的に架空人件費を計上していることになっていた場合もあるかもしれません。そのような場合は、過少申告加算税が課せられます。

 

過少申告加算税とは、納税額が不足していた場合に課せられる罰金です。過少申告加算税の金額は通常、不足分の税額が50万円以下の部分については、不足分の税額に10%をかけた金額、当初申告の税額と50万円のうち、いずれかか大きい方の金額を超える部分については、15%をかけた金額となります。

 

重加算税が課される場合もある

故意に架空の人件費を計上していたわけではない場合は、上記のとおり過少申告加算税が課されますが、故意に架空人件費を計上していた場合、この行為は、税金を逃れるための不正な仮装行為に該当すると考えられます。したがって、その場合は過少申告加算税ではなく、より税率の重い重加算税が課されることになります。

 

過少申告加算税に代えて重加算税を課せられる場合の金額は通常、不足分の税額に35%をかけた金額です。多額の人件費の架空計上をしていた場合や、長年に渡って人件費の架空計上をしていた場合、重加算税が課されるとすべての納税額はかなりの高額になる恐れがあります。

 

また、重加算税など、追徴課税された税金は原則的に一括して納付しなければなりません。架空人件費の計上で発覚した不足分の税額、重加算税の額をまとめて一括納付するとなると、資金繰りに影響が出る場合もあるでしょう。

 

さらに、人件費の架空計上を行っていたことが取引先の耳に入れば、取引先からの信用を失う可能性もあります。

 

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※本記事は、税理士法人松本の「税務調査ブログ」より転載したものです。

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