架空人件費の計上はなぜバレる?
架空人件費の計上をしている場合、バレないように名簿やタイムカードを用意しても、税務調査時に不正が発覚するケースがほとんどです。では、なぜ架空人件費の計上はバレるのでしょうか。架空人件費の計上がバレる理由を3つご紹介します。
市区町村への反面調査でバレる
架空の人物を雇用していたことにしていた場合、架空の人物の居住地として記載されている市区町村に対して反面調査をすれば、本当にその人物が実在しているのか、確認することができます。
また、従業員を雇った場合、事業主は従業員が居住する市区町村に対して給与支払報告書を提出する義務があります。給与支払報告書とは、個々の従業員に対し、どのくらい給与を支払ったのかを報告する書類です。市区町村は、事業主から提出された給与支払報告書をもとに賦課徴収すべき住民税額を算出します。
この給与支払報告書は、正社員だけでなくパートやアルバイトも含め、給与を支払った従業員全員の分を作成し、提出しなければならないものです。
架空人件費の計上をしている場合には、実在するかどうかは調べればすぐに発覚するため、実在の人物に対し、本当は支払っていない給与を支払っているように見せかけることもあります。この場合であっても、給与支払報告書が提出されているかを市区町村に確認し、給与支払報告書が提出されていなければ、実際には支払っていない架空人件費を計上していたことが発覚します。
賃金台帳に記載がない
賃金台帳とは、従業員に支払う賃金の支払い状況を記載した書類です。従業員を雇用する企業や個人事業主は、賃金台帳を作成しなければなりません。賃金台帳には、従業員の氏名、性別、賃金の計算期間、労働日数、労働時間数、時間外労働、休日労働及び深夜労働の労働時間数、基本給、手当などの種類と支給額、控除内容と控除額についての記載が求められます。また、賃金台帳は、正社員だけでなく、パートやアルバイト、日雇い労働者も含めた従業員全員についての記載が必要です。
架空人件費の計上をしている場合、タイムカードや従業員名簿などについては偽装工作をしていても、賃金台帳には、人件費を支払ったことにしている人物に関する記載がないケースがあるのです。賃金台帳に記載がなければ、当然、架空人件費の計上が疑われるでしょう。
従業員へのヒアリングでバレる
上記2つの理由に関しては、主に実在していない架空の人物に対して給与を支払ったように見せかけた場合に取られる調査手段です。従業員へのヒアリングは、架空の人物への給与の支給だけでなく、経営者の親族や家族に対する架空人件費の支給にも効果を発揮します。
従業員に対して、給与を支払っている経営者の妻や子どもがどのような仕事をしているのか、どの程度出勤しているのかをヒアリングすると、勤務の実態が見えてきます。
会社で見たことがないという証言が得られれば、業務に携わっている実態がないにもかかわらず、架空の人件費を計上していることが発覚するでしょう。
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