(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の利益が高くなればなるほど、納める額も高くなる法人税。納税の負担を減らすべく、経営者は日夜さまざまな節税手法を画策します。なかには節税ではなく“脱税”という不正行為で納税額をごまかそうとする企業も……。しかし、税務署はあらゆる手を使って脱税を見抜きます。では、具体的にどうやって違法行為を見抜いているのでしょうか。税理士法人松本の代表税理士松本崇宏氏が解説します。

架空人件費の計上は脱税の“常套手段”

架空人件費の計上は、脱税のよくある手口として知られています。架空の人件費を支払ったように見せかけ、実際には給与を支払っていなければ、帳簿上では経費としてお金を支払ったことにしているだけで、会社のお金が減ることはありません。人件費は、経費計上が認められている支出ですが、実際には支払っていない人件費を支払ったように見せかける架空人件費の計上という行為は、脱税にあたります。

 

架空人件費を計上する場合によくある工作

架空人件費の計上は、実際には雇用していない人物に給与を支払ったように見せかける行為であり、経費の水増しに該当する不正行為です。架空人件費の計上をして、税金逃れをしようとする企業の多くは、架空人件費の計上は不正行為であることを認識しています。そのため、架空人件費の計上がバレないように次のような工作を行うケースが多くなっています。

 

  • ウソの社員名簿などを準備している
  • ウソのタイムカードを準備している
  • 給与を銀行振り込みではなく、証拠が残りにくい現金手渡しにしている

 

税務調査では架空人件費を詳しくチェックする

不正を行い、納税額を低く抑えようとする場合、売上を隠し、売上が少ないように装うか、経費を水増しして経費を過大に計上するかの、どちらかの手段が取られます。現金取引のビジネスをしている場合は、売上を過少に申告するケースも考えられます。

 

しかし、近年では、銀行振り込みなどによる取引が増えています。また、BtoCのビジネスモデルであっても、クレジットカードをはじめとしたキャッシュレス決済の利用が拡大しています。

 

銀行振り込みやキャッシュレス決済を利用した場合、取引の記録が残るため、売上を隠蔽するためには複雑な処理が必要になるでしょう。そのため、脱税や所得隠しの手段としては、売上の過少申告よりも経費を過大に申告する例の方が多いのです。

 

したがって、税務調査においても経費を水増ししていないか、経費が正しく計上されているかを詳しくチェックする傾向にあります。特に、人件費は領収書がなくても計上が可能な経費でもあることから、税務調査では架空人件費の計上がないかについて、不審な点がないか、細かなチェックが行われます。

 

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相続税の「税務調査」の実態と対処方法

 

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※本記事は、税理士法人松本の「税務調査ブログ」より転載したものです。

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