俺は1人っ子だし安泰だな…母の資産は2億5,000万円。余裕をぶっこいていた〈35歳男性〉が急に不安に駆られたワケ【相続の専門家が解説】

俺は1人っ子だし安泰だな…母の資産は2億5,000万円。余裕をぶっこいていた〈35歳男性〉が急に不安に駆られたワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

母が高齢になってきたものの、相続の話を切り出すきっかけがつかめない……。そんな悩みを抱える人は少なくありません。特に親が不動産など多くの資産を所有している場合、準備を怠ると将来的に相続税が高額になるリスクもあります。一人っ子で相続争いの心配はないとしても、「揉めない=困らない」ではないのです。今回、68歳の母をもつ翔太さん(35歳)のケースをもとに、どのような相続対策が必要なのかを、相続実務士の曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が解説します。

母親は70歳手前

翔太さん(35歳・男性)が母親の相続対策を考えたいと相談に来られました。


母親(68歳)は翔太さんが10代の頃、父親と離婚し、1人で翔太さんを育ててきました。その後、母親は再婚することはなかったため、翔太さんは一人っ子です。

母親は美容院を経営しており、まだ現役で仕事をしています。それだけに母親には時間的な余裕もなく、翔太さんからみれば何も相続のことは考えていないよう。


一人っ子で揉めることがないのは幸いですが、相続税がかかるのでは? と最近になって不安になっているということです。

母親の財産

母親は、やはり事業家だった父親から8世帯の賃貸マンションを相続しており、家賃収入があります。それだけではなく、現金の余裕ができるたびにタワーマンションなどを購入しており、4部屋を所有しています。その他に戸建ての自宅があります。


自宅の建物が古くなってきたことや1人暮らしには広いので、賃貸住宅に建て替えて、所有するマンションの1室に転居する案を考えているが、それは進めたほうがいいかという質問でした。


建て替える予定の賃貸住宅は、4世帯を予定しており建築費は4,500万円とのこと。建築費は借り入れ予定だといいます。

 

現状では相続税がかかる

母親の財産は2億5,000万円で、7,000万円近い相続税がかかります。そのため、節税対策が必要なのは明らかです。


自宅を賃貸住宅に建て替え、借り入れもしておくと相続税は2,000万円ほど減らせますので、効果は大きいと言えます。家賃で返済できる見通しがつけられるので、計画通りに進めたほうがいいとアドバイスしました。

 

他にも対策できる

母親が所有するタワーマンション4部屋は、貸すこともなく空室のまま所有しているということもわかりました。賃貸すれば貸家評価になり、小規模宅地等の特例も使えますので、自宅にする部屋以外の3部屋は賃貸することをアドバイスしました。

さらに預金と株で8,000万円の金融資産があり、生命保険にも5,000万円加入しているといいます。


これからは賃貸収入が入るようになること、母親はまだ元気ですぐに老人ホームなどの資金が必要ではないことなどの理由で、金融資産は評価が下がる不動産に変えたほうがいいこともアドバイスしました。

また、祖父から相続した賃貸マンションの築年数が経つと維持費がかかるため、維持するのであれば建て替えの検討も必要です。あるいは売却して買い替えも検討項目だと言えます。


翔太さんは方向性が整理できたので、母親と相談して進めますと少し安心されたようでした。

 相続実務士のアドバイス

●できる対策:

・土地活用をして賃貸住宅を建てることで節税効果は得られる。
・空室で所有するよりも賃貸すれば評価が下げられる。

●注意ポイント

・不動産にするだけで金融資産よりも評価は半分程度に下がるが、
・さらに賃貸することで評価は下げられる。空室のままにしないことが必須。

 

曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®

株式会社夢相続 代表取締役

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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