(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生労働省のデータでみても、同居期間が長い夫婦の熟年離婚が増えています。老後を迎えてから想定外の離婚によって、もともと考えていたプランを変更せざるを得ない状況に陥ることも少なくありません。本記事ではAさんの事例とともに熟年離婚がライフプランに与える影響について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。

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定年退職祝が地獄絵図と化す

Aさんは、60歳で初めて念願の住宅を購入し、自分の貯蓄をほとんど使い果たしました。しかし、夫からの家賃と5年間再任用で働く給与、その後は夫婦で月額38万円の年金(老齢基礎年金満額83万1,700円と老齢厚生年金(共済組合)140万円)もあるため、問題ないと思っていたのです。

 

65歳でいよいよ退職というとき、珍しく夫から「60歳ではなにもしなかったから、65歳に定年退職祝いでお互いを労う旅行にでも行かないか」と持ちかけられます。Aさんは喜び、金沢にある高級温泉旅行に行くことになりました。しかし、そこに待ち受けていたのは……。

 

高級ホテルで温泉に入り、部屋でゆっくりと豪華な食事をし、Aさんが「いままで2人で頑張って働いてきてよかったね。これからは2ヵ月に1回ぐらいは旅行に行けるかしら?」と今後について話していたところ、夫はいつになく、神妙な面持ちで1枚の紙を出しました。

 

Aさんに感謝しつつも、夫は「自分にとってあなたは妻というより、気の合う同僚という枠を超えることができなかった。結婚しても気持ちが変わらず申し訳ない。この旅行で仕事との縁をきって再出発を考えている」と告げます。

 

差し出された紙は離婚届。Aさんは夫と自分の関係を夫婦と思ってきました。夫の告白に納得できません。さらに夫は、「悩んだが自分は地元に戻ってゆっくり過ごそうと決めた。昨年、同窓会で地元に戻ったとき、まだ独身でいた同級生の女性とお付き合いをはじめたい」というのです。「だから、マンションの購入に反対したの……」Aさんにとっては、労いだったはずの高級温泉旅行が地獄絵図と化しました。

 

定年退職を機に、離婚を切り出されるケースとして、「内閣府の男女共同参画白書 令和4年版」より、夫婦関係が破綻した理由では、「性格の不一致」が男女とも最も多く、女性では続いて、「精神的な暴力」、「異性関係」、「浪費」となっています。

 

厚生労働省の「令和4年度 離婚に関する統計の概況」によると、同居期間別にみた離婚の年次推移から、同居期間が「20年以上」の割合は上昇傾向にあり、2020年には21.5%となっています。同居期間が長いということは、熟年で離婚する人が多いと考えられます。

 

 

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