(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親が亡くなったあと、残された家族が最も戸惑うものの一つが「遺産の中身」です。日頃から「節約しているから大丈夫」と言っていた親であっても、実際の預金額や保有資産を見てみると、意外な金額に驚かされることも少なくありません。また、通帳に残された履歴から、これまで知らなかった一面が見えてくることもあります。

「母は節約家だったはず…」疑問を抱いた通帳の中身

「まさか、こんなに頻繁にATMに通っていたなんて――」

 

そう語るのは、神奈川県在住の中山直樹さん(仮名・53歳)。85歳で亡くなった母・美智子さんの遺品整理の中で見つかった「3冊の預金通帳」に、強い違和感を覚えたといいます。

 

美智子さんは一人暮らし歴が長く、年金(月約11万円)と、夫の遺したわずかな貯金を頼りに「質素に暮らしている」と口にしていました。冷暖房も最低限、衣類も20年以上買い換えていないような節約ぶりで、周囲からも「本当に堅実な人だね」と言われていたそうです。

 

しかし、死亡後に兄弟3人で整理を進めたところ、3冊の通帳には毎月数万円単位の引き出しが続いていた形跡が。しかも、定期的に同じ人物宛への振込履歴も複数見つかりました。

 

「引き出しの多くが、わざわざタクシーでしか行けないATMで行われていたんです。しかも、頻度が異常に多い。週に2〜3回も。体が不自由だったはずなのに…」

 

直樹さんが銀行に照会をかけたところ、定期的な引き出しのいくつかは「生活支援」の名目で、近所の知人(80代男性)への送金だったことがわかりました。

 

さらには、日用品のネット通販代金や、デジタル決済の履歴まで。高齢でスマホも持っていなかったはずの母が、どうやって使っていたのか、家族には謎のままです。

 

「もしかしたら、誰かに使われていたんじゃないか」という疑念が兄弟間で膨らみ、一時は警察への相談も検討されたほどでした。

 

高齢者による“身近な人への支援”や、見守り名目での金銭授受は、法的なトラブルに発展することもあります。特に認知機能の低下が見られる時期の金銭管理は、本人の意思だけで判断するのが難しくなるため、家族や第三者の関与が望ましいとされています。

 

 \1月20日(火)ライブ配信/
調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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