「米国売り」は対米投資の引き揚げ、「米ドル離れ」
4月2日、トランプ大統領が自身の肝煎りの政策である相互関税を発表すると、間もなく世界的に株価が急落し、その一方で米金利は急騰に向かう「トランプ・ショック」となりました。米金利が急騰したことで、これまで見てきたように金利差と米ドル優位は拡大したわけですが、それを尻目に米ドルは下落が拡大するところとなったわけです。
このように金利が上昇する中で株価と通貨が下落することを「悪い金利上昇」と呼びます。または金利上昇は債券価格の下落ですから、株、債券、通貨の「トリプル安」、それが今回は米国で起こったので「米国売り」とも呼ばれます。つまり米ドルの下落は、3月までとは異なり、4月に入り相互関税発表のあとからは「米国売り」の結果に変わったということでしょう。
ところで、金利差の変化の中身を独米で見ると、4月に入ってからは米金利が上昇する一方で独金利は低下が続いていました(図表4参照)。前者は米国債価格が下落していること、そして後者は独国債価格が上昇していることを示しています。これを見ると「米国売り」は、対米投資をユーロ圏などへ引き揚げている可能性もあるのではないでしょうか。米国からの資金還流、米ドル建てポートフォリオ見直し、いわゆる「米ドル離れ」といったことがもしも始まったなら、それは一時的にとどまるか微妙かもしれません。
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