先週の為替市場…「関税政策」の影響で、円高米ドル安が進行
為替市場では、トランプ政権が相互関税の対象から除外したスマートフォンなどを巡って、ラトニック商務長官が新たな半導体関税に組み入れることを表明したことや、ウォラーFRB理事が講演で「景気後の脅威がある場合には、政策金利を従来想定より早く、かつ大幅に引き下げる方向を支持することになるだろう」との考えを示したことなどを受け、15日には一時1米ドル=142円台半ばまで円高米ドル安が進行しました。
その後は、米ハイテク株安を背景としたリスク回避姿勢の高まりに加え、日米関税交渉で円安が議題になるとの懸念などから、一時141円台後半まで円高米ドル安が進行する場面があったものの、円安が議題にならなかったことが伝わると、円高米ドル安は一服しました。
18日には1米ドル=142.46円と、11日(143.54円)に比べて円高米ドル安となりました(図表1)。
日米金利差が拡大しているにも関わらず、為替市場では円高米ドル安が進行しています。米金利の上昇や米ドル安の要因としては、トランプ政権による強硬かつ不確実性の高い政策運営に対する信任低下を反映しているとの見方もあります。
米国の関税措置が各国との交渉によってマイルドなものになれば、円高米ドル安は一服する可能性があるものの、相応の時間を要することが予想されます。
今週は、4月の東京都区部CPIや米PMIなどに注目
今週は、4月の東京都区部消費者物価指数などに注目しています(図表2)。
4月の東京都区部コアCPI(生鮮食品を除く総合)は前年比+3.2%と3月(同+2.4%)から伸びが大きく加速することが予想されています(東京都区部コアCPIの推移は図表3参照)。
4月は高校授業料無償化が物価の下押し要因となるものの、米などの食料品価格の上振れによる押し上げが続くことや、電気代・ガス代補助金の縮小にともないエネルギー価格の伸びが加速することから、コアCPIは全体として上昇率を高めるとみられます。
また、4月は年度替わりの価格改定月にあたるため、賃上げにともなう人件費の増加を価格転嫁する動きが一段と広がるかも注目しています。
米国では関税政策を巡る不透明感が高まるなか、4~6月期の景気を占ううえで、4月のPMIの動向に注目しています(米PMIの推移は図表4参照)。
4月の総合PMIが1~3月期平均(52.6)から低下すれば、4~6月期の景気減速リスクが改めて意識される可能性があります。
なお、すでに公表された4月ISM景況指数では、関税引き上げに伴う価格上昇や、各国による報復措置などによって企業活動が萎縮しつつあることが示されています。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】4月第4週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」【解説:東京海上アセットマネジメント】』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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