先週の為替市場…「円高米ドル安基調」で推移
為替市場では、トランプ米大統領が2日に相互関税を発表したことで、貿易摩擦の激化や世界経済の悪化への警戒感から、円高米ドル安基調で推移した1週間となりました。
9日、中国を除く複数の国・地域を対象に相互関税の一部を90日間停止すると発表したことで、一時1米ドル=148円まで円安米ドル高が進行したあと、ベッセント米財務長官が最近の円高について、「日本経済の強い成長とインフレ期待上昇の結果だ」との見解を示したことや、
中国が米国からの輸入品に対する関税を84%に引き上げることを発表したことで貿易摩擦が一段と激化するとの懸念が高まったことなどから、週末にかけて円高米ドル安に転じるなど、値動きの荒い展開となりました。
11日には1米ドル=143.54円と、4日(146.03円)に比べ円高米ドル安となりました(図表1)。
今週は、3月の米小売売上高やECB理事会に注目
今週は、3月の米小売売上高やECB理事会に注目しています(図表2)。
(注)11日10時時点のデータ
(注)小売売上高(コントロールグループ)は全体から、変動の大きい自動車、ガソリン、外食、建設資材を除いたもの
小売売上高は、寒波やカリフォルニアの山火事、2024年後半にみられた関税引き上げ前の駆け込み需要の反動により1月(前月比▲1.2%)と大きく落ち込んだあと、2月は前月比+0.2%と1月の落ち込みを取り戻すに至りませんでした(図表3)。
2月は寒波や山火事による下押しがほぼ剥落したとみられるものの、低い伸びにとどまったのは関税引き上げ前の駆け込みの反動が続いている側面が大きかったと考えられます。
3月は、駆け込みの反動が和らぐとみられることから、前月比+1.4%へ伸びを高めると予想されています。もっとも、関税政策によるインフレ懸念を反映した消費者マインドの低下などが懸念材料として浮上しており、個人消費が底堅さを維持できるか注目されます。
ECBは17日の会合で0.25%の利下げを実施し、政策金利(預金ファシリティ金利)を2.25%に引き下げることが予想されます(政策金利の推移は図表4参照)。
3月時点で、ドイツとEUの財政拡張方針が経済・物価の押し上げに作用する可能性があるため、ECBは利下げ継続に慎重な姿勢を示していました。
しかし、トランプ米大統領による相互関税の発表以降、ECB高官は関税政策を注視する姿勢を示しています。特に、ユーロ圏にとっても主要な貿易相手国である中国にはトランプ米大統領の就任以降大幅な関税引き上げが行われていることから、景気の急減速が懸念されます。
こうした点を踏まえると、4月会合でも0.25%の利下げが行われる可能性が高いと考えられます。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】4月第3週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」【解説:東京海上アセットマネジメント】』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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