先週の為替市場…米中貿易摩擦や日米財務相会談の懸念後退で上昇
為替市場では、トランプ米大統領がFRBの金融政策に不満を示したことや、トランプ政権がパウエルFRB議長の解任を検討しているとハセット米国家経済会議委員長が明らかにしたことなどを受け、米国の信認低下を警戒した米ドル売りが優勢となったことに加え、ベッセント米財務長官が日米財務相会談で円安是正を求めるとの観測も米ドル売りを後押しし、22日には一時1米ドル=139円台後半まで円高米ドル安が進行しました。
その後、トランプ米大統領がパウエルFRB議長の処遇を巡り、「解任するつもりはない」と発言したことや、日米財務相会談後に加藤財務相が「米国から為替水準の目標や、それに対する枠組みの話は全くなかった」と発言したことなどが伝わると、米ドル買いが優勢となりました。
25日には1米ドル=143.11円と、18日(142.46円)に比べて円安米ドル高となりました(図表1)。
今週は、4月の米雇用統計などに注目
今週は、4月の米雇用統計に注目しています(図表2)。
前回3月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+22.8万人と2月(同+11.7万人)から増勢が加速し、6か月移動平均では+18.1万人と労働市場が堅調さを維持していることを示す内容となりました(図表3)。
4月は前月差+13.0万人へ鈍化することが予想されているものの、6か月移動平均では+19.5万人と引き続き堅調さを維持するとみられます。失業率についても4.2%と前回から変わらず労働市場の底堅さを示唆する予想となっています(失業率の推移は図表3参照)。
一方で、4月14日にセントルイス連銀は損益分岐点雇用増加数(失業率の上昇を回避するための非農業部門雇用者数の増加ペース)が足もとで15万人程度との試算結果を公表しました。
これは4月以降の雇用統計において非農業部門雇用者数の増勢が前月差+15万人を持続的に下回るシグナルが示されれば、労働市場が悪化している可能性が高いことを意味します。
なお、昨年7月の雇用統計をきっかけに米景気が後退期に突入したとの見方が強まった際には、非農業部門雇用者数は6か月移動平均で+13万人程度に減速しました。
今後、DOGEによる連邦政府職員の採用凍結やレイオフ(一時解雇)に加え、トランプ政権による関税措置の影響が見込まれるなか、損益分岐点雇用増加数は労働市場の底堅さが維持されているかを判断する目安になると考えられます。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】5月第1週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」【解説:東京海上アセットマネジメント】』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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