氷河期世代、次なる壁は「親の介護」
そして今、この世代にはさらなる試練がやってきています。それが「親の介護」です。
地方で働く47歳の山本裕司さん(仮名)は、就職氷河期に翻弄されたひとり。100社以上エントリーして、大学4年生の冬にようやく1社から内定をもらったそうです。
「学生時代、真面目に勉強してたんですけどね……。春からずっと活動してましたが、どこも落ちてばかり。冬になって、やっと内定。正直、最後には希望もなにもなくて、入れてくれるならどこでもよかったです」
内定をもらった仕事は営業職。しかし性格的に合わず、わずか半年で退職したといいます。
「自分は内向的でグイグイいけない性格で、このまま働いていたらストレスで病気になってしまうと思ったんです」
その後は派遣で食いつなぎ、ようやく29歳で正社員の職に就いたといいます。内勤事務で当時の年収は250万円ほど。それから18年たった今、年収は340万円だといいます。
「地方っていうのもあるし、零細企業なので本当にちょっとずつしか給料が上がらなくて。それでも実家暮らしで独り身だから、なんとかなっている。結婚は最初からあきらめていましたね」
そんな山本さんの今の悩みは父親の介護。85歳の父は昨年脳梗塞で倒れ、認知症も進んでいるとのこと。
「父は身体が大きい人なので、母だけで面倒をみるのは到底無理。老人ホームに入れるお金なんてないし、自分は自由に会社を休める環境ではないんです」
今は介護サービスを使って何とかしのいでいるという山本さん。しかし、こんな不安が頭をかすめます。
「母だっていつまで健康かわからない。一人っ子なので協力しあえる兄弟もおらず、2人とも介護が必要になったりしたら完全に詰みます。自分の老後? そんな余裕はないですよ。本当にどうなってしまうのか」
そして、こんな本音も漏れました。
「今の新卒の子たち、初任給で自分を超えてると思うと、やっぱり切ないですね。最悪の時代に生まれたのかな、と思うこともあります」
山本さんのように、親の介護と自身の将来不安の両方に挟まれる氷河期世代は多くいます。若い頃に味わった不遇が、今になってさらに重くのしかかる――それが、この世代が抱えるリアルな現実です。
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