個人株主の満足度を高めることは、ロイヤルティ醸成に寄与
本調査においては株主の満足度を1,000ポイント満点で測定している。満足度の高い層と低い層で比較すると、満足度が高い層ほど保有株式の継続保有意向、増額意向、他者への推奨意向がいずれも高く、満足度とロイヤルティには相関があることが確認された。
ただし、ロイヤルティの種類によってはその傾向に違いが見られる。継続保有意向(「そう思う」と「まあそう思う」の合計)では、満足度が500ポイント未満では50%程度に過ぎないものの、500ポイント以上では90%以上となっている。一方、増額意向や推奨意向では、満足度が800ポイント以上でようやく90%以上となっている。
多くの企業が、資本や経営の安定、信頼性の向上や会社のファン獲得といった観点から、長期保有株主の増加に向けた活動に注力している中で、個人株主の満足度醸成は、企業において長期保有株主の形成に有効であることが確認されたと言える。
高年層と若年層で満足度に違い
個人株主の満足度を年代別に分析すると、若年層(20代~30代)ほど満足度が高く、高年層(60代)ほど低いことが分かった。7つのファクターいずれにおいても同様の傾向が確認され、ファクターに関連する実態設問の大半でも若年層ではポジティブ(「そう思う」や「まあそう思う」)に、高年層ほどネガティブ(「あまりそう思わない」や「そう思わない」)に捉える傾向が確認された。
この要因としては、高年層ほど株取引の経験が長い傾向があり、情報の見極めや取引が慎重になるため、同じ経験をしても満足度が上がりにくくなっていることや、長期保有株式の株価の変化により売却の判断がしづらい状態にある顧客層が一定数存在することなどが可能性として考えられる。
一方、高年層と比較して若年層では満足度が高く、企業からの情報発信や認識状況についても総じてポジティブな姿勢が見える。長期保有株主を育てていくという観点では、こうした若年層の満足度を維持向上できるよう、企業と株主のエンゲージメントを高めていく施策が重要であると考えられる。


