(※画像はイメージです/PIXTA)

誰もがいつかは迎える人生の終わり。しかし、その最期が誰にも気づかれず、空白の時間を経て初めて明らかになるケースが増えています。「孤独死」です。本稿では、実例を通し、孤独死の実情について株式会社TBH不動産代表取締役の柏原健太郎氏が解説します。

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孤独死が起きた物件

あの家の空気は、明らかに異様だった。重く、暗く、そして説明のつかない“圧”があった。作業を終えた夜、私は高熱を出して寝込んだ。同行した遺品整理業者は帰り道で物損事故を起こした。霊感などない私たちも、「見えない何か」と対峙したような気がする。

 

聞くところによると、この男性は生涯独身。幼少期に実親とは離れ、養父と2人きりで暮らしていたらしい。唯一の親族にもその最期を拒まれ、誰にも看取られることなく、静かに命を終えた人生だった。

 

それでも、この家には笑い声や、ささやかな喜びも、きっとあったのだと思う。——少なくとも、彼なりに「生ききった痕跡」が確かに残っていた。

 

だが同時に、私は感じた。「置き去りにされた想い」がこの家には残っている、と。恨みなのか、寂しさなのか、誰かに気づいてほしいという願いなのか。声にはならなかった「声なき声」が、そこに漂っていた。私は僧侶を招き、供養を依頼した。亡くなった方のためであり、関わったすべての人の心を、少しでも軽くするためでもあった。

終活は「死の準備」ではない

不動産は、単なる「モノ」ではない。 誰かの人生が宿り、記憶や感情が積み重なった空間だ。不動産業者にできるのは、取引を超えて、物件に宿る「物語」に耳を傾け、必要な供養や想いを引き継いでいくこと——それもまた、大切な役割だと感じている。

 

記憶も、感情も、やがて消えていく。だからこそ、私たちは「いま」の思いを、遺言書やエンディングノート、映像などに遺すべきだ。相続人がいなくても、自分の想いや言葉を残しておけば、それは「誰か」の心を救い、未来への安心につながる。終活とは、死への準備ではない。いまをよりよく生きるための「自分との対話」なのだ。たとえ孤独な死であったとしても、そこに静かな敬意が注がれる社会であってほしいと、私は心から願っている。

 

 

柏原 健太郎
株式会社TBH不動産 代表取締役

 

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