滞納する理由は「お金がないから」とは限らない
管理組合は、管理費と修繕積立金を未納する世帯には督促の案内を始めます。督促を進めていくと、滞納世帯の反応はさまざまでした。
「うっかり忘れていました」というケースもあれば、「支払いを優先する必要がないと考えていた」という驚きの言い分を聞くこともあります。特にこの世帯の場合、「手元資金がない」「いずれまとめて払うつもりだった」と言い放ちました。
つまり、支払い能力がないのではなく、「管理費は後回しにしてもいい」と考えていたのです。しかし、管理費や修繕積立金はマンション全体の運営に関わる重要な資金になります。管理費と修繕積立金を滞納されると、管理組合の財務が圧迫され、将来的に住民全体の負担が増える可能性に繋がります。
日本人より外国人のほうがルールを遵守?外国人世帯は未納ゼロ
管理組合の記録を調査すると、意外な事実が判明しました。マンション内の外国人世帯の管理費滞納は、ゼロだったのです。
日本人世帯の中には、収入が高そうにみえるにもかかわらず管理費と修繕積立金を滞納するケースがありましたが、外国人世帯はルールをしっかり守り、期日どおりに管理費と修繕積立金を支払っていました。文化的な違いや契約遵守の意識が影響しているのかどうかはわかりませんが、現状、この点だけみれば日本人よりも外国人のほうがルールを守っているようです。
滞納を防ぐために…管理組合ができること
管理費の滞納はどのマンションでも発生しうる問題です。特に大規模マンションでは、住民の経済状況や価値観が多様化しているため、より慎重な対応が求められます。滞納を防ぐためには、以下の対策が効果的です。
・管理費の口座引き落としの徹底
・滞納が発生した場合の迅速な対応
・管理組合の役割について住民の理解を促す
3ヵ月などの未納が発生したら、すぐに通知を送ることが重要です。6ヵ月以上の滞納が続く場合は、顧問弁護士や管理会社の力を借りて法的措置の検討も必要になります。
また、管理費や修繕積立金がどのように使われているのか、定期的に住民と情報を共有し、管理費財源の重要性を理解してもらいましょう。「滞納が増えると、将来的に管理費を値上げせざるを得ない」ということを居住者に知ってもらうことが必要になります。
