ポストに残されていた「お知らせ」
年末年始帰省の際、里子さん(仮名)の娘(49歳)が真っ先に違和感を覚えたのは、マンションのポストでした。郵便物が何通も詰まったままになっており、そのなかに見慣れない封筒が交じっていたのです。そこに記載されていたのは、「管理費滞納のお知らせ」。
「え……管理費を払っていない?」
これまで家計管理に問題のなかった母だけに、滞納の知らせは娘にとって想定外の出来事でした。
部屋に入った瞬間、「はっきりと感じた生活の異変」
室内の様子から、生活が以前とは異なっていることがはっきりと伝わってきました。
・キッチンにはゴミ袋が置かれたまま
・冷蔵庫には賞味期限切れの食品
・テーブルの上には光熱費の督促状
・干しっぱなしになったままの洗濯物
「最近、ちょっと疲れやすくてね」と力なく笑う里子さんは、以前より一回りも小さくなり、頬がげっそりとこけていたのです。かつての几帳面な面影をかき消すようなその様子に、娘は込み上げてくる悲鳴を喉の奥で必死に飲み込みました。
通帳を確認すると…年金月12万円で“ギリギリ”の生活
娘は意を決して、母に通帳をみせてもらうことに。そこに記録されていた、あまりに厳しい家計の現実に娘は愕然としました。
年金収入:毎月12万円
管理費・修繕積立金:月3万円
光熱費・食費・医療費:月9万円
毎月の支出を差し引くと、手元に残るお金はほとんどありません。物価高や医療費の増加も重なり、里子さんは「すべてをきちんと支払う」ことが難しくなっていたのです。結果として、管理費の支払いが後回しになっていました。それでも本人は頑なにこういいます。
「年金があるから大丈夫。子どもに迷惑はかけたくないの」
マンション老後に立ちはだかる「固定費」の壁
分譲マンションは、老後も安心して暮らせる住まいだと思われがちです。しかし、そこには戸建てにはない、「管理費・修繕積立金」という“逃げられない固定費”が重くのしかかります。
国土交通省の調査によると、築15年を超えたマンションでは、約7割が管理費・修繕積立金の値上げを経験しています。さらに大規模修繕時には、一時金の追加負担が求められるケースも珍しくありません。年金という収入が限られた生活のなかで、こうした負担増に耐えるのは容易ではありません。
