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【Q3】マールアラーゴ合意の目的は?

マールアラーゴ合意の目的は次の3つと考えられます。

 

1.貿易不均衡の是正:米国に製造業と雇用を戻す。

 

2.米国が他国からの借り入れで構築し提供してきた「安全保障の傘」(安全な自由貿易体制を含む)の負担を、「傘」のなかにいる他国にも負担させる。

 

3.米国の公的債務≒米国が提供する「安全保障の傘」を持続可能にする。

 

ここで、1点目の貿易不均衡の是正は「重商主義」と捉えられたり、製造業の国内回帰は貿易理論の面から非効率と捉えられがちです。

 

他方で、世界経済の分断が予見されるなかではコストをかけてでも、たとえば食料品や半導体、軍事装備品、その他の必需品などの自給を進めるべきという、現政権による長期的な洞察もあるとみられます(→天然資源もそうでしょう)。

 

すなわち、上記1点目は、ほかの2点と一体として結びついていると筆者は捉えています。

 

翻って、われわれはまずは食料の自給率向上を考える必要があるでしょう。他国を支援できるほどの軍事能力があってはじめて同盟は機能するでしょうし、他国を支援できるような自給率を持ってこそ「いざ」というときに支援を得られるはずです。

【Q4】なぜ準備通貨の供給と安全保障は一体不可分なのか?

先にも述べたとおり、ミラン氏の論文を通じて最も重要と思われるのは、準備通貨の供給と安全保障を一体不可分のものとして考える点です。

 

たとえば、次のように考えることができます(→以下は筆者による補足であり、筆者による解釈を含みます)。

 

・米国は、第2次大戦を経て、その圧倒的な経済力と軍事力を背景に(少なくとも)西側諸国では一極覇権国(unipolar hegemon)となった。また、1950年代の後半以降、世界の主要な貿易財(特に原油)の決済は、それまでの英ポンド建てから、徐々に米ドル建てに移行していった(→もしくは、1971年のニクソン・ショック以降は、ドルを安定させるために、そのように仕向けた)。

 

・結果、米国は世界の貿易相手国に、準備通貨(米ドル)と準備資産(米国債)を供給し続けている。

 

・準備通貨(米ドル)と準備資産(米国債)の供給にはたいてい、準備通貨供給国(米国)の経常収支赤字と財政収支赤字を伴う(→米国の経済学者、ロバート・トリフィンが指摘したもの。⇒米国がモノを買わなければ、相手国にはドルを渡せないし、米国政府が借り入れをしなければ、相手国には米国債を渡せない)。

 

・確かに、米国は準備通貨の恩恵に浴した(→元フランス大統領、シャルル・ドゴール氏が『法外な特権』と呼んだもの)。

 

・しかし、米国の準備通貨供給の恩恵に浴したのは、米国だけではない。

 

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