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成年後見人がつかなかったときの遺産分割協議
家族や友人は無償であれば代理人になることが可能
本人の判断能力に問題ないとして成年後見人(保佐人、補助人)が選ばれなかったときは、本人が遺産分割協議に臨むか、家族・友人や弁護士に代理人となってもらうか、検討することになります。
弁護士のほか、家族や友人も代理人として遺産分割協議に参加することができます。ただし家族や友人の場合、無償でなければならず、報酬を支払うことは許されません。したがって、成年後見制度の申立てが認められなかった場合、無償であれば叔母からの依頼によって家族や友人などが叔母の代理人として協議することはできます。
遺産分割調停や審判に進む場合、家族や友人が代理人として参加するためには家庭裁判所から許可を得なければなりません。代理人でない家族や友人は、本人の付添いで家庭裁判所に行っても調停に立ち会えないのが原則です。
弁護士に依頼する方法もある
本人が遺産分割協議を行えない場合や無償で代理人を引き受けてくれる家族・友人がいない場合などは、弁護士への依頼を検討することになります。今回のケースでは、叔母は兄や姉に怯えている状態なのでご自身が遺産分割協議をすることは難しいでしょうし、無償で引き受けてくれる家族や友人がいない場合は、弁護士への依頼を考える必要があります。
遺産分割調停や審判で代理人となれるのは弁護士に限られるのが原則なので、依頼するケースが多いです。現に、裁判所が取り扱った遺産分割事件のうち弁護士が関与したのは80%ほどとなっています。
なお、司法書士や税理士、行政書士などが代理人として遺産分割協議をすることは非弁行為として許されません。代理人として交渉することができるのは弁護士だけですので、注意してください。
遺産分割が終わっても成年後見人の職務は続く
本人が亡くなるまで成年後見人の職務は終了しない
成年後見人を辞任するためには、正当な理由がある場合に限られ、家庭裁判所の許可が必要となっています。したがって、認知症で判断能力がなくなっていた場合、本人が亡くなるまで成年後見人の職務が続くのが基本です。
これは、遺産分割協議のために成年後見人の申立てをした場合も同じです。遺産分割が終わっても、判断能力のない本人を保護する必要性はなくならないので、成年後見人を外すということはできません。
成年後見人についた場合は、本人が亡くなるまで、本人の財産から報酬が支払われることがあります。具体的な報酬額は家庭裁判所が決定しますが、月数万円が相場です。
古山 隼也
弁護士
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