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タイムカードを切ってから残業、夜勤手当も不十分
相談者は看護師ですが、職場での不当な扱いについて悩んでいます。
具体的には、まず、タイムカードを切ってから残業をさせられており、会社は残業理由を【自己勉強】と記入させ、残業代を支払っていない状況です。この点について、相談者は事故報告書や記録を記入しているため、「明らかに自己勉強ではない」と訴えています。
また、看護師として入社したにも関わらず、会社の命令でヘルパーの仕事も並行させられています。夜勤の日数が多く、夜勤手当を支払われているものの、そのすべてが看護師としての手当2万円ではなく、ヘルパーとしての手当1万円弱で支払われているのです。
すでに会社側に退職の意思を伝えており、退職日は2ヵ月先になる見込みです。相談者は退職してから残業代や手当の差額などを請求することを考えています。
そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。
(1)タイムカードを切ってからの業務について、残業代として請求できる可能性はあるのか。
(2)ヘルパーとしての夜勤手当と看護師の夜勤手当の差額を請求できる可能性はあるのか。
タイムカードの記録がなくても、残業代は請求できる?
残業代を請求するためには、請求する金額に見合った時間働いたことを証明する証拠が必要です。タイムカードはその代表例ですが、証拠はそれだけに限りません。タイムカードに記録された時間よりも長く働いたことがわかる証拠がほかにあれば、その証拠から働いた時間を認定できる可能性があります。
たとえば、パソコンのログオン・ログオフ履歴、職場の電子ロックの履歴、メールの送信や文書の保存の履歴、作業日報、さらには家族への「いまから帰る」というLINEの送信履歴などです。
なお、ここでいう「働いた」とは、「実労働時間」、つまり使用者の指揮監督を受けている状態にあることを指します。実際に作業をしている時間のほか、いつでも作業を始められるように待機している時間なども含まれます。
今回の相談者のケースでは、「自己勉強」という名目であっても、事故報告書をはじめとする仕事に関係する書類の保存日時や、各種作業の記録などから、その時間に働いていた実態が証明できれば、実労働時間と認められ、残業代が請求できると考えられるでしょう。
「夜勤手当」の差額請求で注意すべき点
「夜勤手当」についても、職位ごとの金額が就業規則に定められている限り、差額を請求することは可能と考えられます。
ただし、この請求に意味があるかどうかは、慎重に検討する必要があります。なぜなら、残業代の一種には深夜労働の割増賃金が含まれており、これは「夜勤手当」の支給条件と重複しうるためです。つまり、もし「夜勤手当」が深夜割増賃金としての支給だとされていると、その支払いを受けた分残業代の未払い額が減ることになります。そのため、両者の関係性に注意して就業規則を読み解く必要があるでしょう。

