(※写真はイメージです/PIXTA)

相続人が認知症などの理由で相続手続きが難しい場合には、家庭裁判所に申し立てることで「成年後見制度」を利用できます。しかし、時には理解を得られないこともあるケースもあるようです。そこで今回は、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、成年後見人が必要な人が相続人にいるケースでの手続きの進め方と、成年後見制度の概要について、『弁護士だからわかる!できる!あんしん相続 手続きの「めんどくさい」「わからない」「ストレス」が消える!』(Gakken)の著者である古山隼也弁護士が解説します。

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成年後見人は「家庭裁判所」が指名する

成年後見人をつける手続き

成年後見人をつけるには、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをする必要があります。本人の戸籍謄本や医師の診断書などの書類を揃えて提出します。申立ては、本人の配偶者のほか、本人の四親等内の親族もできますので、甥・姪やいとこなども可能です。したがって甥である相談者も、叔母に成年後見人をつけるために申立てをすることができます。

 

ただ、成年後見人は家庭裁判所が選び、希望者が必ず就任するとは限りません。申立てのときに家族が立候補しても、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることがあります。また、申立てをすると、家庭裁判所の許可なく取り下げることもできません。

 

申し立てる際にはこれらの点に注意してください。

 

成年後見人でなく保佐人・補助人が選ばれることがある

成年後見人が選ばれるのは、本人の判断能力がないのが通常の状態であるときです。したがって、本人の判断能力の程度によっては成年後見人でなく、以下の地位になります。

 

1.判断能力が著しく不十分な場合……保佐人

2.判断能力が不十分な場合……補助人

 

たとえば、成年後見人は本人の代理人として遺産分割協議に参加しますが、保佐人や補助人は家庭裁判所から代理権を付与されなければ本人の代理人として遺産分割協議に参加できません。

 

叔母は「認知傾向」とされているので、判断能力がなくなっているのか、著しく不十分なのか、不十分なのか、わかりません。判断能力の程度によっては、成年後見人でなく、保佐人や補助人が選ばれる可能性もあります。申立てに必要な書類のなかに医師の診断書があり、叔母の主治医が叔母の判断能力について意見を記載しますので、これを確認すればある程度わかります。

 

なお、叔母は寝たきりで目が見えない状態ということですが、成年後見制度は判断能力の程度から判断されますので、これらが考慮されるとは限りません。

成年後見人がついたときの遺産分割協議

法定相続分の確保が前提

成年後見人(保佐人、補助人)は、判断能力が不十分な本人の保護者となって財産を守る立場です。したがって、本人の法定相続分を確保するため遺産分割協議に臨むのが基本で、少ない取り分で協議に応じたり、相続放棄をしたりすることは難しいといえます。

 

なお、成年後見人と本人の両方が相続人の場合、利益相反の関係となるため、成年後見人が代理人として遺産分割協議に参加することはできません。後見監督人が代理人になるか、別に特別代理人をつけて、その人が代理人として参加することになります。

 

相談者も相続人ですので、もし相談者が叔母の成年後見人になっても、別の人が叔母の代理人として遺産分割協議を行います。遺産分割協議で相続人全員が合意できれば、その内容を記載した遺産分割協議書を作成します。

 

遺産分割協議がまとまらなかったら

遺産分割協議がまとまらなかったときは、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てることになります。遺産分割調停も、遺産分割協議と同様、話合いによって合意を目指す手続きです。調停委員(男性1名、女性1名)と裁判官(または調停官)があいだに入りますが、実際に対面するのは主に調停委員です。裁判官は、毎回同席するとは限りません。

 

調停委員は弁護士以外もなることができます。実際、調停委員のうち弁護士は14%ほどしかおらず、ほかは弁護士以外の士業や会社・団体の役員・理事などです。

 

調停での話合いがまとまらなければ、自動的に審判に移行します。審判は話合いでなく、お互いの主張・立証を踏まえて裁判官が判断する手続きです。

 

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