安く仕入れ、相手の気が変わらないうちに売る
今回は不動産を早く売るためにはどうするか、説明します。
できるだけ仕入れ値を安くすることに尽きます。できるだけ安く買えば売る時も市場より安く仕入れているので市場価格か、ちょっとディスカウントした価格で売れます。そうです、皆が買いたくなるような価格で売ることができるのです。
私の場合はディスカウント分を100万円上乗せして2500万円の売値にすべきだったかもしれません。2500万円で売りに出した場合ディスカウントプリーズときても買い手の要望に応えて「それでは100万円引きましょう」とも言えるし、また買い手の100万円下の指値にも喜んで損なしで売ることができたわけです。ぜひ皆様も最初の買い手にうまく売ってください。
一度売ることを決心したら売り切るまでそのことに集中することが一番大切なことです。そして時間をおかずに返事をすることです。何か資料を求められたらすぐに用意して相手に送ることです。相手がこうしてほしいと言ったらできる限り要望をきくことです。とにかく相手の気の変わらない内に売却してしまうのです。
ところでなぜ不動産業者は水曜日が休みだか知っていますか? それは契約が水に流れてしまわないように水曜日を休む不動産業者が多いのです。人の気持ちは一晩寝たら変わることもあるのです。だから相手が買う気になっている内に売りきるのです。それでは私がそれを実践した事例を紹介します。
「カリブ海のど真ん中」から日本の不動産を売却
2005年1月24日に3290万円で売買契約をした銀座にある最初の投資用マンションを売る決心を2009年8月にしました。
10月になっても買い手が現れないので当初の4290万円から3980万円に値段を引き下げました。そうすると11月になって購入を検討したい法人が現れました。私はあいにく11月13日から24日まで家内と2人でカリブ海クルーズに行く予定でした。
大事な時にこのチャンスを逃したくはないと不動産業者にPCのメールアドレスを伝えて置きました。フロリダに着いたころホテルでメールを見ると業者から一通届いていました。そこには「3800万円で今検討しています。即引き渡しの希望です。中村さんの希望の2月でしたら手付金なしでお願いしたい、とのことです」とありました。
私がなぜ2月に引き渡したいかは業者にも事前に説明していました。これがわかる方は税金に詳しい方ですね。そうです、長期譲渡所得にしたかったのです。不動産を買った売買契約日から売った売買契約日までが5年以内の場合は短期譲渡所得で売買益に40%の税金がかかります。5年を過ぎれば長期譲渡所得になり税金も半額の20%ですみます。
だから2010年1月25日以降に売りたかったのです。しかし買主様のご意向を最大限尊重するという姿勢からはそうは駄々をこねていてはいけません。私は早速20%税金が多くなるのは幾らかを計算しました。そうしたら100万円くらいでした。私は3700万円で売却するのと同じだと自分を納得させました。そうして業者にメールしました。
「金額は3800万円で了承しました。問題は引き渡しですね。相手様が即との希望ですか? 私が日本に帰るのが23日ですので11月27日の引き渡しでいかがでしょうか。せっかく申し込みをいれていただいているので相手様のご希望を聞いてあげたいと思います。相手様のご希望に沿ってできるだけいきたいと思っていますのでうまくまとめてください」
とメールで返事しました。1時間後に「かしこまりました。中村様のご意見、ありがたく承りまして、先方と調整します」とメールが返ってきました。
私は抵当権を抹消する義務があるのでオリックス信託銀行で抹消の手続きを私の代わりに聞いてもらうように業者に頼みました。そうすると「一般的な回答も得られず、本人でないと頑なに拒まれました」とメールで返ってきました。私は思い切って電話する決心をしました。
11月19日、日本時間朝9時30分です。その頃船はカリブ海のど真ん中をジャマイカに向かって航行中でした。
そしてその日は皆が着飾って船内で食事をする日でした。その食事の最中家内を残して1人抜け出しました。船からの電話は1分10ドルです。10分で1万円です。でも抵当権を抹消するためには仕方がありません。そこで日本から船に折り返し電話をしてもらうように最初の1分間の電話で伝えました。しかし待てどもかかってきません。理由は日本からかけると船の交換手が時間外でつながらないとのことでした。本当に厄介だと思いましたが、これをやらないとせっかくの楽しい船旅も台無しです。
結局日本に電話してすべて伝えるのに10分かかりました。それで日本に帰り無事2009年12月3日に決済ができました。即金での決済です。しかしあと53日決済を伸ばしてくれたら税金が半額になったのにと惜しい気持ちがあったことは否定しません。