メリットばかりのように宣伝されているが・・・
今サラリーマンの気軽な不動産投資としてワンルームマンションの投資が新聞紙上によく宣伝されています。私は今までワンルームマンションの投資はしたことがありません。
しかし2010年4月27日に知り合いのY氏からワンルームマンション投資について相談を受けました。それは今から15年前の1995年のこと、Y氏は赤坂に20㎡のワンルームマンションを購入しました。1983年築でしたので購入時は築15年で金額は2600万円でした。まだ不動産バブルがはじけて5年くらいしか経過していませんでした。バブルの当時最高で5000万円以上はしていたことでしょう。再びマンション価格が上がると思えば買いたくなるでしょう。
その頃の宣伝文句は「毎月の持ち出しが家賃収入との差額2万円で都心のど真ん中に資産がもてて、不動産所得が減価償却費を計上することで確実にマイナスになり、確定申告すれば支払った税金が返ってくるので実質プラスになります。ぜひ手間暇のかからないワンルームマンションに投資しましょう。今ならバブル期の半値以下で買えます。将来の値上がりも当然期待できます」というものでした。
Y氏は思い切って業者のすすめるままに銀行借入して購入しました。しかし2010年の2月15日に不動産業者からある1本の電話がありました。
それは3月15日に入居者が退室するとの電話でした。退室後の4月に入居募集を不動産業者に依頼したところ「3月も過ぎてしまっているので、7万5000円でしか借り手がいませんよ」と言われ私のところに相談に来られたわけです。
Y氏は年間毎月9万円の家賃収入がありました。しかし毎月の返済は10万円でした。それに加えて毎月の管理費が1万円でした。したがって毎月2万円の持ち出しでした。年間24万円の持ち出しです。15年間で360万円です。それと購入時の頭金と手数料で300万円です。合計660万円の投資です。今でも1200万円の残債もあります。
Y氏はサラリーマンです。今は不況で給料もボーナスも以前に比べて減っています。それに入居者からの毎月9万円も入らなくなりました。しかし銀行の元利金返済の毎月10万円と管理費1万円の支払いは待ってくれません。毎月のおこづかいも8万円ですのでこのままでは大変なことになることがわかってきました。
入居者が退去した瞬間、収入は0になるハイリスク投資
私はワンルームマンション投資を否定はしません。しかし入居率は100%か0%かどっちかなのです。ワンルームマンションを一つ保有しているサラリーマンの場合はそのことを十分認識しなければなりません。ワンルームマンション投資は入居者が入って100%の入居率になり、入居者が退室して0%の入居率になる非常にリスクがある投資なのです。
現金で購入する場合には、銀行金利以上の家賃収入があるので有利なことは間違いありません。しかし税金が戻ってくるからと言って借金してまで購入すると私が最初に銀座にマンションを購入した時と同じになります。家賃収入がなくて毎月13万円の返済は経験した人にしか理解できません。
たぶん全国的にも多くのサラリーマンの方々がワンルームマンションに投資されていると思います。そこで私は経験上売却する方向で考えることを提案しました。売却してしまえば毎月11万円を支払わなくてすみますし、固定資産税も支払わなくてすみます。精神的にも非常に楽になります。
何回も口酸っぱく言っているように家賃収入のない不動産で自分が使っていないものは資産ではなく負債に過ぎません。お金だけが出ていきます。返ってはきません。大事なお金をどぶに捨てているのとあまり変わりはありません。