今回は、負債と化した投資用ワンルームマンションの処分に成功した事例を見ていきます。 ※本連載は、株式会社タカ・コーポレーション代表取締役、中村 隆氏の著書『続・究極の不動産投資術』(株式会社タカ・コーポレーション)の中から一部を抜粋し、不動産の購入から、入居者募集、物件の維持管理まで、「究極の不動産投資術」の具体的な内容を解説します。

利回りで価格が決まる投資用ワンルームマンション

前回の続きです。

 

次に売却の仕方としてまず9万円の入居者をつけてから売却するようにアドバイスしました。なぜなら昔と違って投資用マンションとして売りに出されるからです。いわゆる「何パーセント」で市場に出るのです。そのことを説明するとY氏は、今まで利回りで売買されるという発想はまったくなく赤坂の20㎡のマンションとして築年数と広さと場所という三要素でもって価格が決まるものと考えていました。

 

確かに自分で居住しようとして購入する人には利回りなんかあまり関係ないことでしょう。しかしワンルームマンション価格自体利回りで価格付けされています。私の銀座のマンションも結局、年間家賃収入の18万5000円の12カ月分である222万円を元にして3800万円で売却できました。利回りは5.8%です。

 

築浅でかつ銀座と立地が良かったので何とか5.8%で売却できました。それが築27年で20㎡のマンションならば利回りは8%から9%が妥当だと考えられます。唯一の救いは場所が赤坂にあり、事務所として今まで貸しており需要も結構あるという点でした。

 

もしそれが八王子となれば300万円になってしまいます。残債が1200万円と計算すると、不動産業者に支払う手数料約40万円を含め1300万円で売れれば、損は当初の投資660万円で済みます。値引き100万円を乗せて1400万で売りに出すことを提案しました。そうなると家賃は幾らに設定しなければならないかというと、利回りを9%で計算すると1400万円× 9%で年間126万円の家賃です。それを12で割ったら毎月10万5000円となります。

 

次に赤坂だから8%でも売れるだろうと仮定した場合は、1400万円× 8% ÷12で家賃は9万3000円になります。ディスカウントプリーズが入って1300万円になり9万円の家賃で9×12÷ 1300で利回り8.3%となり妥当な利回りです。赤坂のマンションで築は27年と古いが利回りが8.3%あるのなら購入してみようという投資家もいることでしょう。最後に実質利回りを説明すると、管理費が入りますので9万円引く1万円×12カ月÷ 1300万円で7.38%となります。

家賃を減額して入居者を入れると、売却価格も下がる

しかし最初にY氏が不動産業者に提示された7万5000円で募集して、もし入居者が決まったらどうなることでしょうか? 話は全然違ってきます。まず毎月7万5000円の収入から毎月の返済10万円と管理費1万円を支払って、毎月4万5000円の出費がこれから毎月続きます。

 

一度家賃を設定して後で上げるわけにはいきません。そして入居者が入ったままで売却する場合は7万5000円×12カ月÷8%で価格も1125万円にしかなりません。それで売れた場合に115万円を預金から支払わなくてはなりません。当初の投資額660万円と合わせて775万円の損となります。

 

したがって私は1カ月分家賃無料にしてお得感をだして9万円での入居者を探した方が良いと言いました。私が銀座のマンション募集をした時のようにできるだけ多くの不動産業者を回り、専任ではなく一般媒介での契約にして募集するようにアドバイスしました。

 

Y氏の話を聞いて2点こうすべきであったことを言うと、

 

1点目 2月15日に退去の知らせを聞いていて何も行動しなかったこと。

 

私なら即座に3月20日から入居可能として募集を不動産業者に依頼します。2月、3月は年間で一番需要がある時期なのでそれを過ぎると入居者を見つけるのが大変だからです。

 

2点目 きちんと確定申告せずにいたこと。

 

これは大変な損です。と言いますのは本来ならばできた減価償却費の計上ができなかったことで税金が15年間一円も返ってきていなかったのです。簡単に説明すると1995年に築12年のマンションの場合、RCマンションの耐用年数47年引く12年で35年減価償却できます。

 

マンションの場合土地価格はほとんどないので減価償却するのに好都合です。建物価格を2000万円としても35年で割って年間57万円の減価償却費を計上できます。

 

家賃収入から元利金返済の利息分と減価償却費と固定資産税が費用として引けますので普通は不動産所得がマイナスとなり、サラリーマンの源泉税分が確定申告することによって返ってきます。これを使わない手はありません。この2点が気になりましたので皆様もぜひ参考にしてください。

本連載は、2012年3月20日刊行の書籍『続・究極の不動産投資術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

続・究極の不動産投資術

続・究極の不動産投資術

中村 隆

株式会社タカ・コーポレーション

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