母親の財産は自宅と合わせて4,000万円だが…あれよあれよという間に〈要介護5〉になった92歳母親。字が書けなくなった母親を前に〈70歳女性〉が後悔したワケ【相続の専門家が解説】

母親の財産は自宅と合わせて4,000万円だが…あれよあれよという間に〈要介護5〉になった92歳母親。字が書けなくなった母親を前に〈70歳女性〉が後悔したワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「母の思いを形にしておけばよかった」92歳の母親を支えてきた巻子さんは、遺言書を残せなかったことを悔やみました。母が元気なうちに準備を進めていたものの、認知症の進行によって手遅れに。家族の意向を尊重しつつ、円満に遺産を引き継ぐにはどうすればよかったのか?相続実務士の曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、遺言書の重要性と適切な準備について解説します。

もめない内容が無難

母親は「巻子さんに全財産を相続させたい」という気持ちのようですが、それでは弟から不満がでることは間違いないでしょう。

 

また、自宅と店舗は巻子さんは住んだり使ったりすることはないため、やはり、地元にいる弟に相続させるのが妥当だとアドバイスしましたところ、巻子さんもそう思うということで、母親に話をすると言われました。  

 

よって、不動産は弟に、預金は巻子さんにとする分け方が現実的だろうということになり、巻子さんもすっきりした、母親に早めに遺言書を書いてもらうと言って、すっきりとした顔で帰りました。 

あっという間に名前も書けなくなった

その後、母親は肺炎になって入院してしまい、退院後は一人暮らしができなくなり、介護施設に入所するなど、慌ただしく日にちが過ぎてしまいました。

 

遺言書の書き方がまとまり、いざ母親に書いてもらおうという矢先の入院となり、落ち着く暇がなかったようです。

 

しばらくして巻子さんから連絡がきたのですが、母親の介護度が5になり、一気に認知症が進み、字がうまく書けないようになってしまったというのです。少し前までは普通に話もでき、手紙や日記も書いていたのに、驚いたと話していました。

元気なうちに書いてもらえばよかった

巻子さんは母親に遺言書のサンプルを見せて、その通りに書いてもらおうとしたのですが、字が思うように書けなくなっていて、本人は書いているつもりでもまともなものでなく、さすがに無理だとあきらめたということです。

 

早めに遺言書を作っておいてもらわないといけなかったと後悔したと巻子さんは話していました。弟との遺産分割協議が必要にはなりますが、姉の立場で巻子さんの考えを通してまとめたいと言っていました。

相続実務士からのアドバイス

遺言書をつくるタイミングは、気になったらすぐに、ということをおすすめしています。元気なうちに意思を残しておけば後悔しなくてすみますし、安心して長生きできるとおすすめしています。

 

 

 

 

曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®

株式会社夢相続 代表取締役

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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