今週は19日の「日米金融政策決定会合」などに注目
ここまで、先週米ドル/円の下落がひと息ついた理由について、主に金利差と投機筋の動向から確認してきました。ではこの先はどうなるかについて、金利差を中心に考えてみましょう。金利差はさらに拡大に向かうのでしょうか、それとも縮小が再開するのでしょうか。
日本の金利は、“世界一の経済大国”である米国の金利の影響を強く受けることから、両者は連動するのが基本です。
しかし、最近にかけて日米の金利差が大きく縮小したのは、米金利が低下傾向となるなかで、それからかい離して日本の金利が大きく上昇するといった、やや異例といえる構図で起こったものでした(図表5参照)。
したがって、この先の日米の金利差を考えるうえでは、日本と米国の金利を分けて考える必要があるでしょう。
まず、日本の金利上昇はまだ続くのか。先述したように、米金利が低下傾向となるなかでの金利上昇となっていますが、日銀などの見解をみてもこれまでのところ特に懸念している感じはなさそうです。
今週は日銀の金融政策決定会合がありますが、それまでに日本の金利上昇が急加速するといったようなことがない限り、金利上昇の流れは金融当局も容認するなかで続く可能性が高いとみられます。
では、米金利はどうでしょうか。米金利については、当初トランプ大統領の関税政策がインフレを再燃させるとの見方が強かったものの、ここに来てその不確実性からむしろ景気を減速させる可能性が高いとの見方も増えてきたようです。こうしたなか、米国株も先週にかけて大きく下落するところとなりました。
今週はFOMC(米連邦公開市場委員会)のほか、2月の小売り売上高など注目度の高い経済指標発表も予定されていますが、広がり始めた米景気への懸念が払拭されるのは簡単ではないでしょう。したがって、米金利が大きく上昇に向かう可能性も低いと考えます。
以上のように見ると、当面は日米の金利差拡大は限られるのではないでしょうか。金利差拡大が限られるとなると、米ドル/円の反発にもおのずと限りがあるでしょう。
一方で、すでに見てきたように投機筋による米ドル売り・円買いの“行き過ぎ”懸念も強まっていることなどを踏まえると、米ドル安・円高が一段と進むのも簡単ではなさそうです。以上を鑑み、今週の米ドル/円は「146~151円」と予想します。
ところで今週は先述したように、19日が日米、20日は英国、スイス、さらに南アフリカと、各国で金融政策を議論する会合が相次ぎます。なかでも注目したいのが、やはり日米での金融政策決定会合です。
今回、日米ともに金融政策の変更は予想されていません。ただし、ここに来て日銀は追加の利上げが早まるとの見方が広がっている一方で、FRB(米連邦準備制度理事会)は米景気に減速の兆しが出てきたことから、利下げ再開が早まる可能性が注目されています。
このため、会合の結果だけでなく、会議終了後の植田日銀総裁、パウエルFRB議長の記者会見などを受けた今後の金融政策の見通しに注目です。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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