2月の労働市場…依然底堅さを維持も、失業率に不安材料
米労働省が7日に公表した2025年2月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査)は前月差+15.1万人(市場予想:同+16.0万人)と堅調ペースを維持したほか、過去2ヵ月分の修正幅(▲0.2万人)が小幅なものにとどまりました(図表1)。
パウエルFRB議長は2022年、雇用の長期的な巡航速度は推定10万人増/月との考えを示していることや、移民の流入が細っていることなどを踏まえると、労働市場は依然底堅さを維持していると考えられます。
内訳をみると、サービス部門が前月差+10.6万人と1月(同+8.8万人)から雇用の増勢が加速した一方で、政府部門(1月:前月差+4.4万人→2月:同+1.1万人)は鈍化しました。
DOGE(政府効率化省)による連邦政府職員削減の影響が一定程度顕在化した可能性があります。もっとも、今回の調査期間はDOGEによる雇用削減の影響が本格化する前であり、実質的な影響は来月以降に現れるとみられます。
2月の失業率(U3、家計調査)は4.1%と、1月(4.0%)から小幅に上昇しました(図表2)。
労働参加率(1月:62.6%→2月:62.4%)、就業人口率(1月:60.1%→2月:59.9%)が低下しており、失業率が示すよりも中身のよくない結果だったといえます。
また、不安材料として、「フルタイムの仕事を望んでいるがパートタイムで働いている人」が急増していることが挙げられます。
これを含めた失業率(U6*)は1月の7.5%から8.0%へ大幅上昇し、2021年10月以来の水準となっています。パートタイムが短期的に増えた可能性があるものの、長期的には通常の失業率であるU3とU6は連動する傾向があるため、失業率(U6)の上昇が続くようであれば注意が必要です。
(*)縁辺労働者・経済的な理由による短時間労働者を含む広義の失業率
失業率(U3)の変動要因をみると、「長期失業」が1.03% (1月:1.00%)とほぼ横ばいにとどまる一方で、「再度職探しを開始した」は1月の1.24%から2月に1.30%へ上昇しています(図表3)。
DOGEによるレイオフで職を失った連邦政府職員がすぐに再就職できない場合、「再度職探しを開始した」の上昇が見込まれるものの、職が見つからなければ「長期失業」の上昇につながる可能性があるため、注意が必要です。