消費者マインドは、関税への懸念から約4年ぶりの低水準に
民間調査機関のコンファレンスボードが公表した2025年3月の消費者信頼感指数は92.9と2月(100.1)、市場予想(94.0)をともに大きく下回り、約4年ぶりの低水準となりました(図表1)。
内訳をみると、現況指数が2月の138.1から3月に134.5へ、期待指数が74.8から65.2へ揃って低下しました。特に、期待指数は2013年3月以来の低水準であり、消費者の先行きに対する悲観が強まっていることが示されました。これに先立って公表されたミシガン大学調査でも、消費者マインドの悪化が鮮明となり、トランプ政権による関税政策が消費行動に悪影響を及ぼしかねない状況にあると考えられます。
同時に公表された1年先の期待インフレ率は6.2%(2月:5.8%)へ一段と上昇し、2023年4月以来の高水準となりました(図表2)。
1年先の期待インフレ率は、トランプ政権による関税政策や鶏卵等の価格高騰を受け、急上昇しています。ミシガン大学調査では短期(1年先)のみならず、中長期(5-10年先)でも大きく上昇しました。インフレ再燃を回避するためには、消費者の中長期のインフレ期待が安定的に維持されていることが重要です。ミシガン大学調査における中長期のインフレ期待の上振れが一時的なのか、4月14日に公表予定のFRBが重要視するNY連銀の調査結果が注目されます。
労働需給は小康状態も…トランプ政権の関税政策が今後を左右
雇用環境に関する指標をみてみると、「職が豊富」との回答(2月:33.6%→3月:33.6%)の低下に歯止めがかかったことに加え、「職探しが困難」との回答(2月:16.0%→3月:15.7%)が低下した結果、前者から後者を差し引いた労働市場格差は、2月の17.6%から3月に17.9%へ上昇しました(図表3)。
「職探しが困難」との回答は、昨年夏以降(2024年7月~12月)の平均である16.6を下回っており、将来の労働市場に対する悲観的な見方が一段と広がっている状況にないと考えられます。今後6ヵ月以内で所得が「増加する」と想定する消費者の割合が低下し、逆に「減少する」との割合は上昇しています(図表4)。
労働市場の拡大ペースは鈍化しているものの、需給が急速に緩んでいる状況にはなく、縮小均衡を保っていると言えます。ただし、先行きについては、トランプ政権による関税政策などの不確実性の高まりに加え、DOGE(政府効率化省)による連邦政府職員削減が労働市場にとってリスク要因と考えられます。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…3月第4週の「米国経済」の動き』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】