(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社による寄稿です。2025年2月のマーケットを振り返り、「1. 概観、2. 景気動向、3. 金融政策、4. 債券、5. 企業業績と株式、6. 為替、7. リート、8. まとめ」のそれぞれについて解説します。

8.まとめ

【債券】

●米国経済の堅調さとトランプ政権の関税などの経済政策が市場参加者に金利上昇リスクを意識させるため、しばらく長期金利は足元の水準に高止まりすると予想します。FRBの利下げは継続される見通しですが、弊社は25年内の利下げ回数の予想を2回から1回に変更しました。

 

●欧州では、ECBが追加利下げを継続すると想定しますが、米長期金利の高止まりとトランプ関税への懸念が、長期金利の低下を小幅にするでしょう。

 

●日本の長期金利は、日銀の国債買い入れ減額に加え、利上げが進むとの見通しから国債の買い需要が低迷しており、上昇しやすい状態にあります。

 

【株式】

●米国株式市場は、AI関連銘柄などハイテク銘柄を中心に優良銘柄の業績が拡大しています。一方で、トランプ政権による規制緩和により金融機関の収益が拡大するとの期待は小さくなっているようです。米国内の個人消費が堅調に推移すれば、好業績の大型優良株をけん引役に米国株は取引レンジを切り上げる展開を予想します。

 

●日本株式市場は、日米金融政策、為替レート、トランプ政権の政策に関する不透明感が強く、神経質な展開が続く見込みです。日本の景気回復や株主還元の強化などガバナンスの改善に市場参加者の関心が向かえば、日本株の上昇につながるでしょう。夏の参院選に向け各党による支持率向上を意図した経済政策や賃上げの動向が、引き続き注目点でしょう。

 

【為替】

●円の対米ドルレートは、緩やかに上昇すると予想します。FRBは利下げを、日銀は利上げを継続すると予想されることから、金利差が縮小して円の上昇要因になるとみています。日米の長期金利差が縮小していることは円高要因ですが、日本の経常収支の構造変化は円安要因になっているとみます。

 

●円の対ユーロレートは、ECBによる追加利下げ期待が日銀の利上げ期待より強く意識され、緩やかな円高方向で推移する見込みです。

 

●円の対豪ドルレートは、日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇すると見ています。豪ドルの対ドルレートは横ばい圏での推移を予想します

 

【リート】

●グローバルリート市場は、米国の金利動向に左右される不安定な展開が想定されます。欧州では長期金利が、域内の経済情勢や政治情勢だけでなく、米国の経済政策の影響を大きく受けているようです。不動産市場は回復しつつありますが、リート価格は引き続き横ばい圏となりそうです。

 

●米国リート市場では、データーセンターとヘルスケアセクターのシニアハウジングの高成長が続く一方で、オフィスリートはバリュエーションが相対的に割安となっており、長期金利の動向に左右される展開が続きそうです。アジア・オセアニアでは、豪州の利下げがプラス材料ですが、豪州はこれまでパフォーマンスが良好であったためリートが割高と意識されていることが懸念材料です。日本はオフィス賃料の改善が見込まれ、資産売却、内部留保活用などの自助努力を継続していますが、日銀の利上げ懸念や投資信託からの売却に対する警戒感などが頭を抑えるでしょう。自己投資口の買い入れ、買収などによる国内リートの再編が注目材料となるでしょう。

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2025年2月のマーケットの振り返り【解説:三井住友DSアセットマネジメント】』を参照)。

 

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
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