泊まり込んで介護は同居になる?
問題は相続税です。同居していれば小規模宅地等の特例が使えるので自宅土地は20%、1,600万円の評価にでき、他の財産と合わせて3,700万円となり、相続税はゼロとなります。
しかし、隣の家に住んでいて、泊まり込んでいるのが同居とみなされるのか? ということがわからないと相談に来られたのでした。
同居にならず=小規模宅地等の特例は使えない
雅美さん夫婦は泊まり込んで介護してきたのは同居だという認識ですが、税務的には同じ建物に住んでいないと同居とはみなされません。しかも隣の建物は雅美さんの夫名義で、お母さんの建物ではないのです。
こうした場合は、小規模宅地等の特例は適用できず、相続税を支払うことになります。相続税は645万円、全体の8割を相続する雅美さんは516万円の相続税を払わなければなりません。
生前であれば方法はあった
小規模宅地等の特例を使うためには、夫の家は子供に贈与してしまい、夫婦でお母さんの家に同居してしまうようにすれば、何ら問題なく、同居として小規模宅地等の特例が使えます。
計画的に節税しておこうとするならば、生前の準備が必要でした。
雅美さんご夫婦は泊まり込みで介護しているので同居が認められるとばかり思っていたと残念がっていましたが、今から事実は変えられません。雅美さんのときの対策を、今から取るようにおすすめしました。
曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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