高齢の母が独りで暮らす実家の隣に住居を構えた雅美さん一家。普段から頻繁に家を行き来しており、母が亡くなるまで、時には泊まり込みで介護をしていた雅美さん夫婦ですが、相続の際に、ある事実が判明しました。相続実務士の曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、相続税支払いの特例が適用されない事例について解説します。
母親が亡くなった
雅美さん(65歳)は3姉妹の長女です。90代の母親が亡くなったと相談に来られました。
父親はすでに亡くなっていて、嫁いで他で生活をしている妹が2人がいますので、相続人は3人になります。母親の財産は自宅の土地8,000万円、建物100万円で財産の約8割にあたります。残る現金は約2,000万円でした。
雅美さんには夫と2人の息子があり、母親の家の隣に夫名義の家を建てて住んできました。雅美さんも結婚当初は実家から離れ夫婦で生活をしていましたが、子供が生まれたときに父親が「隣に家を建てたらどうか」と言ってくれて、そのようにしたのでした。
母親がひとり暮らしになった
父親が15年前に亡くなり、母親はひとり暮らしになりましたが、すぐ隣に雅美さん家族の家があり、行き来できますので、何の不安もない生活だったといいます。
母親が90代になり、いよいよ1人暮らしが大変になったころは、雅美さんや夫が泊まり込んで母親の介護をしてきました。そのため、母親はずっと自宅での生活ができていたのです。
自宅は雅美さんに
父親が亡くなったときに母親は、父親から自宅を相続しています。配偶者の特例を生かして相続税がかからないというメリットがあったので、それを生かしました。
母親は隣に住む雅美さん夫婦がずっと面倒を見てくれたと感謝していて、公正証書の遺言書を作るといって作成してくれています。自宅は雅美さんにとし、現金を妹2人で分けるようにという内容です。
雅美さんと妹たちは仲もよく、普段から雅美さん夫婦がよく面倒を見てくれていることがわかっていますので、遺言書のとおりで不服はないと言っています。
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
一般社団法人相続実務協会 代表理事
一般社団法人首都圏不動産共創協会 理事
一般社団法人不動産女性塾 理事
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書86冊累計81万部、TV・ラジオ出演358回、新聞・雑誌掲載1092回、セミナー登壇677回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2025年版 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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