妻と話し合い、2人で老人ホームの入居を決めた洋明さん。早速自宅を売却しようと思い立ちますが、老後の面倒を見てもらいたいと訴える実姉とのトラブルに悩まされています。相続実務士の曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が共有名義の二世帯住宅で発生したトラブルについて、実際の事例をもとに解説します。
二世帯住宅を建てた
洋明さん(72歳)が夫婦で相談に来られました。
洋明さん家族は、両親と独身の姉(75歳)と自宅で同居してきました。15年前に父親が亡くなったとき、自宅の土地は長男だということで、洋明さんが相続しました。
建物が老朽化してきたため、10年前に建て直したのですが、母親と姉が住む家と洋明さん家族の家とは玄関を別にした完全な二世帯住宅としました。
家を建て直す際、それぞれの家族の費用で建てるようにしましたので、建物の3分の2は洋明さん、3分の1は姉名義となりました。母親の名義にするよりも、長く住む姉名義にしようとなり、姉も自分のお金を出しています。
共有名義だと売れない!
洋明さん夫婦には一人娘がいますが、数年前に結婚して家から離れて独立しました。そのため、自宅は2人暮らしには広くなったと言えます。
洋明さんも70代になり、老後のことを妻といろいろと相談する中で、ずっと広い家に住み続けるよりも、娘の世話にならなくていいように、老人ホームに入ろうと意見がまとまりました。それには家を売却する必要があります。
独身の義姉の面倒はみない!
土地は洋明さん名義でも、建物に姉の名義が入っていれば勝手には売れません。姉に話をしたところ、自分はずっと最後までこの家に住み続けると言うのです。しかも、老後の面倒は義妹である洋明さんの妻や娘にみてもらいたいとも。
それを聞いた洋明さんの妻は怒り心頭になったのです。「自分たちは子供に負担をかけないようにと考えているのに、とても、義姉の面倒などみられない」「入院などすれば身内が保証人になり、都度呼び出されるに決まっている。そんな役割は引き受けられないし、すでに別世帯を築いている娘に負担はかけられない」と。
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
一般社団法人相続実務協会 代表理事
一般社団法人首都圏不動産共創協会 理事
一般社団法人不動産女性塾 理事
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書86冊累計81万部、TV・ラジオ出演358回、新聞・雑誌掲載1092回、セミナー登壇677回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2025年版 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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