富裕層にも、富裕層を目指す人にも読んでほしい
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世の中は「意思の弱い人」が多数派
世の中には意思の弱い人が大勢います。というより、意思が強い人のほうが少ないのでしょう。ダイエットの本が書店に多数並んでいるのは、ダイエットがむずかしいからです。ダイエットが簡単なら、わざわざ本を買う人はいませんから(笑)。
読者が、ダイエットや禁煙に苦労した経験がなく、夏休みの宿題を最終日に徹夜で頑張った経験もないのであれば、読者は意思が強い人なのかもしれず、本稿を読む必要はないかもしれません。しかし、読者にそうした経験があるなら、きっと読者も意思が弱いので、本稿が参考になるかもしれません。
「先に貯め、残りを使う」を徹底する
老後資金を貯めようと決意したときに障害となるのは、下記の2点でしょう。
①日常的に金を使い過ぎてしまう
②「一点豪華主義」で大きな出費をしてしまう
前者については「次の給料日まで倹約して、残った金額を定期預金にしよう」と考えるよりも、先に定期預金を作ってしまって残った金額で生活するほうがはるかに楽です。なんといっても、財布にお金がなければ「ちょっとくらいならいいか」という気持ちを抑えることができるからです。
毎月定期預金を作りに行くのも面倒でしょうから、金融機関に「毎月一定額を定期預金にしてください」などと頼んでしまえばいいでしょう。筆者のお勧めは、定期預金よりも投資信託の積み立て投資ですが、そのあたりのことは別の機会に。
定期預金や投資信託にすれば、日常的な支出の抑制になると同時に、もしかすると一点豪華主義的な出費も抑制できるかもしれません。「自動車を買い換えたいけれど、定期預金を取り崩すのはもったいないからガマンしよう」といった抑制が働くことが期待できるからです。定期預金といっても金利はほぼゼロなのですが、人間の心理というのは複雑ですから(笑)。
意思の弱さは「他人の力」を借りてカバー
ダイエットをしたければ、周囲にダイエットをすると宣言すればいいのです。毎日のように「痩せた?」などと聞いてくれる親切(?)な人が出現するので、「明日から痩せる」などとは恥ずかしくていえないでしょうから。
それと同様、「お金を貯めるぞ」と周囲に宣言してしまうと、贅沢しようという意識を抑制できるかも知れません。「貯まってる?」と聞いてくれる人が出現するでしょうから。
「老後資金を貯める」と宣言したうえで親に貯金通帳を預けてしまう、という選択肢もあります。「自動車が買いたいので、預けてある定期預金の通帳を返してほしい」といい出すのは恥ずかしい、といった心理が行動を抑制してくれることを期待するのです。
筆者のお勧めは、若いときに住宅ローンを借りて自宅を買ってしまうことです。銀行が毎月返済額を引き落としてくれるので、残った金額で生活するしかなくなります。読者が贅沢をしてしまわないように、毎月引き落としをしてくれる銀行の親心に感謝しましょう(笑)。
老後資金は貯まりませんが、退職時までにローン返済を終えて自宅が自分のものになっていれば、あとは退職金と年金でなんとかなるでしょう。退職前に頑張って貯金をすれば、そして退職後も元気な間は働いて稼げば、老後のささやかな贅沢も可能になるでしょう。
iDeCo、財形貯蓄等を活用しよう
iDeCo(個人型確定拠出年金)という制度があります。これは「制度を利用して購入した株式等については売却益や配当収入などが非課税になる」「拠出した額は所得税計算の際に所得控除される」という非常にメリットの大きな制度です。サラリーマンは拠出限度額が比較的小さいですが、ぜひ活用するとよいでしょう。
本稿が注目するのは「60歳まで引き出せない」という点です。意思の弱い人が老後資金を貯めるため…ということで国が定めたもので、「親心」のようなものですから、ありがたく利用させてもらいましょう。
もっとも、事業の浮き沈みの激しい自営業者は「あと100万円あれば倒産を免れたのに」といった目に遭いかねませんので、親心がアダにならないように注意が必要ですが…。
iDeCoについては、制度が複雑なので別の機会に詳述しますが、メリットが大きいので、ぜひ前向きに検討することをお勧めします。
財形貯蓄も活用するとよいでしょう。引き出しに一定の制限があるものについては、iDeCoと同様に政府の親心を感じますし、引き出しに制限がないものについても、さまざまなメリットがありますから。
まず、毎月一定額をあらかじめ天引きしてもらえるので、日常的な贅沢を抑制できます。「せっかく積み立ててあるのに、使ってしまうのはもったいないから、一点豪華主義の支出はガマンしよう」と思うこともできます。それから、引き出すときには人事担当者に申し出る必要があるので、ちょっと恥ずかしい、という自分の感情も利用できるかもしれません。
本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。
塚崎 公義
経済評論家
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