富裕層にも、富裕層を目指す人にも読んでほしい
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金融商品、複雑にアレンジしても「元の素材」はどれも同じ
レストランでは、素材の味も楽しみますが、なんといってもシェフの味付けを楽しみます。「どうせ胃のなかで消化されて栄養になるのだから、素材と調味料を別々に食べても同じことだ」という考え方もありますが、「人生を楽しむために客がシェフの給料を負担している」ということなのでしょう。
しかし、金融商品は違います。金融機関が複雑な投資商品を作ることによって高い手数料を取ったとしても、素材となっている金融商品を別々に購入したとしても、同じことですから、手数料を払わずに済む方法を選択すべきでしょう。
たとえば、保険は「掛け捨てだと保険料がもったいないので貯蓄型保険(積立型保険)に加入する」という例は多いですね。しかし、それなら「国債を買って金利収入を得て、それを掛け捨て保険の保険料として払う」ほうがよいでしょう。
掛け捨て保険は各社が似たような商品を出しているので、割高な手数料が上乗せされている可能性は小さいですが、貯蓄型保険は各社の商品比較がむずかしいので、割高な手数料が上乗せされている可能性があるからです。
投資についても同様ですが、投資の場合には手数料の問題だけではありません。複雑な投資商品のなかには、投資初心者が理解できないようなリスクを抱えたものも少なくありません。「ノーベル経済学賞の受賞者が開発した複雑な数式を駆使した最新式の投資商品」などには手を出さないほうが無難でしょう。
妥当な価格が理解できないなら、恐らく「割高な商品」のハズ
たとえば、「高い金利を支払う債券です。ただし、償還日(満期日)にトヨタの株価が半値以下に下がっていたら、現金の代わりにトヨタの株券を渡します」というような債券があったとします。
高い金利に魅力を感じる投資初心者も多いでしょうが、筆者としてはおすすめしません。トヨタの株価が半分になる確率がわからないならば、自分の抱えているリスクがわからないため、自分が思っている以上のリスクを抱え込む可能性があるからです。
手数料の面でも、おそらく割高でしょう。プロたちの間で「トヨタの株価が半分になったら損失を肩代わりしてくれる保険」があったとすれば、その保険料の相場は計算によってある程度求められるはずです。
そうした債券を発行するということは、その相場の保険料よりも相当安い値段を「金利上乗せ分」として投資初心者に支払うことで、保険料を節約している、ということでしょう。
そんな債券を買うくらいなら、トヨタの株を買ったほうがよいかもしれませんよ。結構高い配当がもらえますし、値上がりして大儲けできる可能性もありますし、何より「株は暴落するのが怖い」という「株を買わない理由」が無いわけですから(笑)。
損失限定の投資商品を買うべきでない理由
「株式に投資する投資信託ですが、株が暴落しても投資額の7割は必ず払い戻します」という投資信託があったとします。暴落しても損失が限定されているならば安心だ、と考えて投資する初心者も多いようですが、これも筆者としてはおすすめしにくいです。
たとえば、客から預かった資金の半分を国債で運用して半分を株式で運用したとすれば、株価が6割暴落しない限り問題が生じません。そんな大暴落の可能性は非常に小さいでしょうから、運用会社のリスクはほとんどないでしょう。それでも心配なら「株価暴落保険」に加入すればよいのです。実際には「プットオプション」を購入することになるのでしょうが。
一方で、客から受け取る手数料は残高全体にかかりますから、国債で運用している部分についても手数料が稼げるわけです。これは美味しい商売でしょう。
客としては、そんな商品を買う資金があるのであれば、自分で半分は国債を買い、残りは「株式で全額運用する投資信託」に投資すればよいのです。株価が6割以上暴落するリスクは皆無ではありませんが、個別株が6割値下がりするリスクと比べて平均株価が6割値下がりするリスクのほうがはるかに小さいですし、過去数十年の株価のグラフを眺めると、暴落しても戻る可能性が大きいでしょう。暴落リスクを避けるために高額な手数料を払うのはもったいないですし、ならばいっそ、自分でプットオプションを購入するという方法もあります。
懸念されるのは、多くの客にとってプットオプション購入のハードルは高く、投資信託業者に高い手数料を支払って代わりに買ってもらうことになる可能性が高いだろう、という点です。
これがただちに問題だとは思いませんが、手数料率をよく見たうえで、「そんなことなら、普通の株式投信と国債を半々で買う」ということも検討してみましょう。業者に支払う手数料が大幅に安くなる一方で、国債の金利も手に入りますから、悪くないと思いますよ。
本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
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塚崎 公義
経済評論家
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