本部と加盟店の軋轢
また、本部が加盟店に課すロイヤリティ料率が高すぎるという加盟店の不満は、草創期から見られた。1990年代以降になると、いわゆる脱サラ組の加盟店オーナーが急速に増加するが、その多くは本部が開発した店舗で営業するため、自前の土地や建物を用意する契約に比べて、ロイヤリティ料率がさらに高い。
業界の競争激化とあいまって加盟店側にかかる負担は大きくなり、オーナーやその家族による労働を通じて、人件費の抑制を図らざるを得ない状況が常態化してきた。あるいは、コンビニ会計と呼ばれる業界独特の会計システムにより、商品廃棄は加盟店側の一方的な負担になるしくみのもとで、本部側としては、欠品のない状態こそが利便性の基本だとして、加盟店に廃棄ロスを恐れず発注するよう奨励してきた。
2009年には、公正取引委員会が、セブン‐イレブン本部による見切り販売の制限・禁止に対して排除措置をとった。加盟店オーナー家族の過酷な労働生活も含めて、こうしたフランチャイズ・ビジネスとしての問題点は、関根十九光『セブンイレブン残酷物語』(エール出版社、1983年)以降、繰り返し指摘されてきたが、いまだに根本的な解決を見ていない(満薗勇『日本流通史――小売業の近現代』有斐閣、2021年)。
社会保険労務士の飯塚盛康は、「セブン‐イレブン加盟店オーナーの異常に高い死亡率・傷病者」という文章で、セブン‐イレブン共済会の給付保険金データ(2012年7月~2013年6月)をもとに、「セブン‐イレブンのオーナーは、過労死ラインの危険を感じる中央省庁の人の8倍も命の危険があり、国家公務員の9倍以上も病気やケガをしていることになる」との推計を示した(コンビニ加盟店ユニオン・北健一『コンビニオーナーになってはいけない――便利さの裏側に隠された不都合な真実』旬報社、2018年)。重たい数字であろう。
満薗勇
北海道大学大学院経済学研究院准教授
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