セブン‐イレブンはなぜ成功したのか「日本では使えない」アメリカのマニュアルに頼らず、日本初のコンビニが生み出したイノベーション【経済学の専門家が解説】

セブン‐イレブンはなぜ成功したのか「日本では使えない」アメリカのマニュアルに頼らず、日本初のコンビニが生み出したイノベーション【経済学の専門家が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

日本を代表するコンビニエンスストア企業・セブン‐イレブン。元はアメリカのサウスランド社の業態でしたが、日本型に適合させることで爆発的な成功を収めました。本稿では、北海道大学大学院経済学研究院准教授の満薗勇氏の著書『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社)より詳しく解説します。

セブン‐イレブンにとってのお客様 鈴木敏文の直感

鈴木敏文は、1932年に長野県で生まれた[図表1]。56年に中央大学経済学部を卒業後、出版社勤務を経て、63年にヨーカ堂へ入社した。ヨーカ堂は65年に伊藤ヨーカ堂、さらに71年にはイトーヨーカ堂へと社名を変更したが、総合スーパーの店名にはイトーヨーカドーの表記が用いられる。

 

[図表3-3]鈴木敏文の略年譜
[図表1]鈴木敏文の略年譜
出所:鈴木敏文『挑戦 我がロマン――私の履歴書』(日経ビジネス人文庫、2014年)巻末年譜により作成

 

鈴木は71年にイトーヨーカ堂取締役となり、先述の伊藤雅俊の右腕として総合スーパーの経営拡大を支えた。この頃、イトーヨーカ堂は、総合スーパーの大型店を出店するにあたって、地域商業者などからの強い反発を受け、各地でいわゆる大型店紛争を経験していた。その経験を経て、「地元商店街の人たちに、共存共栄でやっていきたいと申し入れるについては、その具体的な方法を提案しなければならず、中小小売店の今後の方向を研究」しようという問題意識をもつに至った(鈴木敏文「急成長するコンビニエンス・ストア」『証券アナリストジャーナル』1979年11月)。


そうしたなかで、鈴木は、別件でアメリカ視察を行った際に、サウスランド社が展開していたアメリカのセブン‐イレブンを実見した。「雑貨屋みたいな変な店」との印象をもったが、調べてみると当時4千店も出店していると知り、そこにはなにか可能性があるはずだと直感する。

 

1973年にはサウスランド社とエリアサービスおよびライセンス契約を結んで、株式会社ヨークセブンを設立し、鈴木はその専務取締役として、コンビニエンス・ストアという新しい業態の開発に邁進した。

 

このときにアメリカのサウスランド社から学んだことでは、1. コンビニエンス・ストアの基本コンセプトと、2. フランチャイズ・チェーンのしくみと会計システムという2点が重要であった。

サウスランド社に学んだこと〈1. 基本コンセプト〉

1. コンビニエンス・ストアの基本コンセプトは、買い物の便利さを提供する点にあり、コンビニエンスという名称もこれに由来する。そのためには、すぐ近くに立地し、長時間営業の年中無休で、必要なものをいますぐにほしいというニーズに応えることが重要となる。

 

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本連載は、満薗勇氏の編著『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで

消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで

満薗 勇

中央公論新社

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