セブン‐イレブンはなぜ成功したのか「日本では使えない」アメリカのマニュアルに頼らず、日本初のコンビニが生み出したイノベーション【経済学の専門家が解説】

セブン‐イレブンはなぜ成功したのか「日本では使えない」アメリカのマニュアルに頼らず、日本初のコンビニが生み出したイノベーション【経済学の専門家が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

日本を代表するコンビニエンスストア企業・セブン‐イレブン。元はアメリカのサウスランド社の業態でしたが、日本型に適合させることで爆発的な成功を収めました。本稿では、北海道大学大学院経済学研究院准教授の満薗勇氏の著書『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社)より詳しく解説します。

セブン‐イレブンの特徴・POSシステムの導入

POSとはPoint of Sales の略で、POSシステムとは販売時点情報管理システムと訳される。買い物客の会計時にレジの端末から入力される情報を集め、いつ、どんな商品が、いくらで、どれくらい売れたのかを単品レベルで集計し、ネットワーク上で把握するシステムであった。

 

セブン‐イレブンは1982年にPOSシステムを導入し、小売業の情報システム化をリードしていく。当時、アメリカではすでにPOSシステムが使われていたが、その目的は、省力化、正確性の向上、不正防止といったレジ係の店頭業務上の対応にあった(セブン‐イレブン・ジャパン『セブン‐イレブン・ジャパン 終りなきイノベーション 1973-1991』セブン‐イレブン・ジャパン、1991年)。

 

それに対して、鈴木は、売れ筋商品の把握と死に筋商品の排除という情報を把握するためのツールとしてPOSを活用したのである。 セブン‐イレブンでは、本部、加盟店、問屋、メーカー、共同配送センターとの間に高度な情報ネットワークを構築し、効率的な配送や魅力的な商品開発を情報面からも支えるしくみを整えた。

セブン‐イレブンのイノベーション

以上のように、日本のセブン-イレブンは、物流や商品開発に加え、情報通信技術の活用にまで及ぶイノベーションを達成した。安売りではなく、利便性の提供というコンセプトに基づく高い利益を追求し、その利益を本部と加盟店で分け合う。中小小売店との共存共栄という初発の問題意識は、このような日本型コンビニのかたちとなって結実したのである。

 

[図表3-4]コンビニエンス・ストア売上高ランキング(2008年度)
[図表2]コンビニエンス・ストア売上高ランキング(2008年度)(出所):『流通統計資料集 2010年版』(流通経済研究所 2010年)71頁により作成。
(注)エリア・フランチャイズを含む。ただし、ミニストップのみエリア・フランチャイズの数字を得られず合算していない。

 

この間、セブン‐イレブンの国内店舗数は、1974年に酒屋からの転換による1号店が開店してから、1980年に801店、1990年に3954店、2000年に8153店へと大きく増加し(セブン‐イレブン・ジャパン『セブン‐イレブン・ジャパン 終りなきイノベーション 1991-2003』セブン‐イレブン・ジャパン、2003年)、[図表2]に示す売上高ランキングの通り、最大手のコンビニエンス・ストアとして業界の発展をリードしたのであった。

 

 

満薗勇

北海道大学大学院経済学研究院准教授

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション

 

【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

本連載は、満薗勇氏の編著『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで

消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで

満薗 勇

中央公論新社

応援消費やカスハラなど、消費者をめぐるニュースが増えている。本書は、消費革命をもたらした一九六〇年代から、安定成長期やバブル、そして長期経済停滞までを消費者の視点で描く。生産性向上運動、ダイエー・松下戦争、堤清…

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録