セブン‐イレブンはなぜ成功したのか「日本では使えない」アメリカのマニュアルに頼らず、日本初のコンビニが生み出したイノベーション【経済学の専門家が解説】

セブン‐イレブンはなぜ成功したのか「日本では使えない」アメリカのマニュアルに頼らず、日本初のコンビニが生み出したイノベーション【経済学の専門家が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

日本を代表するコンビニエンスストア企業・セブン‐イレブン。元はアメリカのサウスランド社の業態でしたが、日本型に適合させることで爆発的な成功を収めました。本稿では、北海道大学大学院経済学研究院准教授の満薗勇氏の著書『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社)より詳しく解説します。

サウスランド社に学んだこと〈2. フランチャイズのしくみ〉

2. フランチャイズ・チェーンのしくみは、本部と加盟店との間にフランチャイズ契約を結んで、本部から加盟店に経営のノウハウや商標・商号などを使用する権利を与え、加盟店からはその対価として使用料(ロイヤリティ)を支払うものである。直営店と異なり、本部と加盟店は資本関係を持たず、それぞれの加盟店オーナーは、資本面で独立した自営業者として経営にあたる。

 

本部と加盟店との関係は、対等なビジネスパートナーとされていた。ロイヤリティの徴収に際しては、売上総利益を基準とする粗利益分配方式がとられた。売上高を基準にしてしまうと、売上高の増加を期待する本部が、加盟店の利益を度外視した方針をとることも起こりやすい。

 

それに対して、粗利益分配方式のもとでは、本部と加盟店がともに利益重視の目標を共有できるため、安売りによる薄利多売ではなく、利便性を重視しながら高い収益をめざすという業態の基本コンセプトにも適合した。

内部資料に触れて裏切られた期待

一方で、サウスランド社との提携後、同社の内部資料に初めて触れた鈴木敏文の感想は、「これは日本では使えない。失敗した!」というものだった(鈴木敏文『挑戦 我がロマン――私の履歴書』日経ビジネス人文庫、2014年)。契約後に初めて開示された分厚い経営マニュアルも、「店舗運営の初心者向け入門書のような内容ばかり」で、なにかあるはずだという契約前の直感は大きく裏切られたのである。

 

そこから鈴木は、日本型コンビニを模索する。1974年に1号店を開店し、以後、試行錯誤を繰り返しながら、日本のセブン‐イレブンは、本家アメリカを大きく超える流通革新を実現していった。1991年、経営危機に陥ったアメリカのサウスランド社をイトーヨーカ堂グループが買収し、日本型コンビニの移植を通じてその立て直しを図ったことは、日本で独自に達成された革新性を物語る出来事であった。

 

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本連載は、満薗勇氏の編著『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで

消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで

満薗 勇

中央公論新社

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