老夫婦が一戸建て住宅に住む問題点
一戸建て住宅に老夫婦だけが住む場合の問題点は、多くの家庭で見られるものです。一戸建て住宅は当初、家族全員で住むことを想定して設計されていますが、子どもたちが独立した後は、必要以上に広い家となり、部屋数は無駄に多いものの使用する部屋は限られます。空き部屋が増え、家全体の管理が行き届かなくなりがちです。
波平とフネも、日々の掃除や庭の手入れが、次第に負担になり始めました。さらに、年を重ねる毎に、波平は膝の痛みを感じるように。フネも以前より家事のベースが遅くなっています。この家に住み続けるのが当たり前と以前は考えていましたが、今ではこの広い家を維持する必要があるのかと自問することが増えました。
さらに真剣に検討すべきなのは、介護の問題です。
今はお互いが元気で暮らしているとしても、将来的にどちらかが介護を必要とする状況に陥ることは避けられません。そうすれば夫婦のうち介護が必要な方は介護施設に入所し、健康な方は一人で広い家に残されて独居世帯となります。
独居世帯になると、孤独感が生活の質を大きく下げる原因となります。家族が周囲にいない生活では、万が一の場合に援助を求める手段が限られます。
犯罪に巻き込まれるだけでなく、自宅の中での事故でけがをしてしまうこともあります。一戸建て住宅の構造(階段や段差など)が、さらにリスクを増大させます。
波平とフネの例からわかるのは、住み慣れた家への愛着と、老後の生活に適した住環境とのギャップです。
一緒に住む家族が減った今、「この家に住み続ける」という選択が一戸建て住宅に住む高齢者にとって最善なのか。当面の課題について、冷静かつ早期に考えることが重要です。家じまいの問題は、老後の生活全体に影響を考える重大なテーマなのです。
長谷川裕雅
弁護士・終活コンサルタント
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