もしも波平とフネが二人暮らしになったら…?〈住み慣れた古い家への愛着〉と〈老後の生活に適した住環境のギャップ〉から見えてくる「家じまい」の問題【終活コンサルタントが解説】

もしも波平とフネが二人暮らしになったら…?〈住み慣れた古い家への愛着〉と〈老後の生活に適した住環境のギャップ〉から見えてくる「家じまい」の問題【終活コンサルタントが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

高齢化や核家族化が進む現代では、住み慣れた家を見直し、より快適で安全な生活を選択することが必要になりました。かつては家族全員と一緒に楽しく暮らしていた家も、少しずつ不便を感じるように…。本記事では、弁護士・終活コンサルタントの長谷川裕雅氏の著書『磯野家の家じまい』(リベラル社)より一部を抜粋・再編集。多くの方に親しまれている「磯野家」をモデルに、高齢化に伴う生活の変化や一戸建て住宅のリスクなど「家じまい」の問題についてご紹介します。

三世代同居から一転…波平とフネの二人暮らしに

 

三世代で住んでいた磯野家も、今では波平とフネの二人暮らしが続いています。

 

静かな生活には慣れたものの、年齢を重ねて体力の限界が目立ち始め、最近ではフネが腰を痛めてしまいました。

 

「お父さん、お茶を淹れましたから、ここにおいておきますね。」フネはゆっくりと波平の隣に座りましたが、その動作にはどこかぎこちなさがありました。

 

「おい、その腰は大丈夫なのか? 最近、なんだか辛そうに見えるぞ。」

 

「大丈夫ですよ。ここ最近ちょっと無理をしすぎただけで……。」

 

フネは微笑みましたが、その顔には疲れの色が浮かんでいます。実は、波平もここ数年、足腰の痛みを感じており、家の中での移動も一苦労です。

 

夫婦で助け合いながら生活しているものの、お互いに体の不調を抱えている状況で、日常の家事や生活が負担と感じることが多くなりました。

 

ある日、サザエが実家を訪ねてきました。

 

茶の間で波平とフネが一緒に座っている姿を見た瞬間、どこかぎこちない雰囲気を感じました。

 

「何か困っていることない?」

 

フネは一瞬何かを言いかけましたが、波平が先に口を開きました。

 

「困っているというほどではないが……母さんが腰を痛めてな。最近はワシが代わりに洗濯物を干してるが、やはり慣れないことが多くてな……。」

 

「お父さんが洗濯を?」サザエはびっくりしました。「でも、お父さんも足腰が痛かったんじゃなかった?」

 

波平は少し照れくさそうに笑いながら答えました。「まあ、そうだが。母さんには無理をさせられないからな。」

 

その言葉に、フネは優しく微笑みましたが、サザエは表情を曇らせました。

 

「早く言ってくれればよかったのに。」

 

「サザエ、あなたにはあなたの家庭があるでしょう。私たちのことは心配しなくても大丈夫よ。」

 

しかし、サザエは納得がいかない様子で言いました。「何かあったときに私たちがすぐ駆けつけられないことだってあるのよ。」

 

サザエの言葉に、波平とフネはしばらく無言で顔を見合わせていました。静かな時間が流れる中、波平が重い口を開きました。「確かにサザエの言うとおりだ。」

 

波平とフネの様子を見て心配になったサザエは、二人に「ヘルパーや介護サービスを利用する方法」や「マンションへの住み替え」といった選択肢について話しました。

 

波平とフネにとって、より一層、今の生活を変えなければならないと思うきっかけとなりました。

 

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※本連載は長谷川裕雅氏の著書『磯野家の家じまい』(リベラル社)より一部を抜粋・再編集したものです。

磯野家の家じまい

磯野家の家じまい

長谷川 裕雅

リベラル社

令和時代となりますます進む少子高齢化。 世は 8掛け社会に突入し、昭和であれば「世田谷の一軒家」は誰もが羨むものであったが、令和の現代では老いた親が住み、後継もなく、ほとほと困り果てたものに。 本書では、国民的作…

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