もしも波平とフネが内縁関係だったら……
「お母さん、これ……本当にどういうことなの? お父さんと正式に結婚していなかったなんて、そんなことがあるの?」
波平が亡くなり、フネと子どもたちは悲しみに暮れながら、日々を過ごしていました。ある日、サザエがリビングでフネに書類を見せながら、困惑した表情で話を切り出しました。
フネはお茶をすすりながら、小さく頷き「そうなのよ、サザエ。私とお父さんは内縁の関係だったの。」
その言葉にサザエは目を見開き、言葉を失いました。横にいたカツオも驚きのあまり声を荒げました。
「えっ、どういうこと!? 僕たち、ずっと家族として暮らしてきたじゃないか……お父さんとお母さんが結婚してなかったなんて聞いてないよ!」
フネは落ち着いた様子で続けました。「昔からお父さんと話していたの。私たちの関係を届け出るかどうか。でも、お父さんは、『形式なんて関係ない、家族は家族だ』って言っていたわ。」
内縁であればフネ、サザエ、カツオに相続権はない
「でも、お母さん、それだとお父さんから認知されていない僕たちって……」
サザエは戸惑った様子で言葉を継いだ。
「相続権がない、ってことになるのよね?」
フネは悲しげに目を伏せながら頷いていました。
「そう。お父さんが遺言を残してくれていれば別だけれど、何も準備していない場合、法律上では私にも、あなたたちにも相続権は発生しないのよ。」
カツオは椅子から立ち上がり、苛立った声を上げました。「そんなの不公平だ! 僕たちはずっとお父さんの子どもとして生きてきたのに、それが法律上では違うなんて。お父さん、なんで遺言を書いてくれなかったんだよ!」
フネはカツオの言葉に目を伏せ、静かに答えました。
「お父さんはね、家族のことを心から愛していたのよ。でも、こういうことが問題になるなんて、気づいていなかったのかもしれないわ……。」
サザエは冷静さを取り戻そうと深呼吸しながら言いました。
「でも、これからどうするの? お母さん、私たち、どうやってこの問題を解決すればいいの……?」

