(※画像はイメージです/PIXTA)

遺産相続で発生する争いやトラブルにはさまざまなケースがありますが、「内縁の配偶者やその子ども」がいる場合はどうなるのでしょうか。本記事では、終活コンサルタントの長谷川裕雅氏の著書『磯野家の家じまい』(リベラル社)より一部を抜粋・再編集して、多くの方に親しまれている「磯野家」をモデルケースに、わかりやすく解説します。

もしも波平とフネが内縁関係だったら……

 

「お母さん、これ……本当にどういうことなの? お父さんと正式に結婚していなかったなんて、そんなことがあるの?」

 

波平が亡くなり、フネと子どもたちは悲しみに暮れながら、日々を過ごしていました。ある日、サザエがリビングでフネに書類を見せながら、困惑した表情で話を切り出しました。

 

フネはお茶をすすりながら、小さく頷き「そうなのよ、サザエ。私とお父さんは内縁の関係だったの。」

 

その言葉にサザエは目を見開き、言葉を失いました。横にいたカツオも驚きのあまり声を荒げました。

 

「えっ、どういうこと!? 僕たち、ずっと家族として暮らしてきたじゃないか……お父さんとお母さんが結婚してなかったなんて聞いてないよ!」

 

フネは落ち着いた様子で続けました。「昔からお父さんと話していたの。私たちの関係を届け出るかどうか。でも、お父さんは、『形式なんて関係ない、家族は家族だ』って言っていたわ。」

 

内縁であればフネ、サザエ、カツオに相続権はない

「でも、お母さん、それだとお父さんから認知されていない僕たちって……」

 

サザエは戸惑った様子で言葉を継いだ。

 

「相続権がない、ってことになるのよね?」

 

フネは悲しげに目を伏せながら頷いていました。

 

「そう。お父さんが遺言を残してくれていれば別だけれど、何も準備していない場合、法律上では私にも、あなたたちにも相続権は発生しないのよ。」

 

カツオは椅子から立ち上がり、苛立った声を上げました。「そんなの不公平だ! 僕たちはずっとお父さんの子どもとして生きてきたのに、それが法律上では違うなんて。お父さん、なんで遺言を書いてくれなかったんだよ!」

 

フネはカツオの言葉に目を伏せ、静かに答えました。

 

「お父さんはね、家族のことを心から愛していたのよ。でも、こういうことが問題になるなんて、気づいていなかったのかもしれないわ……。」

 

サザエは冷静さを取り戻そうと深呼吸しながら言いました。

 

「でも、これからどうするの? お母さん、私たち、どうやってこの問題を解決すればいいの……?」

次ページ内縁者に相続するには認知手続きが必要

※本連載は長谷川裕雅氏の著書『磯野家の家じまい』(リベラル社)より一部を抜粋・再編集したものです。

磯野家の家じまい

磯野家の家じまい

長谷川 裕雅

リベラル社

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