波平が死去するもカツオが行方不明…相続はどうなる?
波平が亡くなり、フネとサザエ、ワカメたちは遺産分割を進めるために集まっていました。しかし、話し合いの場には一つの大きな問題がありました。
「お母さん、これじゃあどうしようもないわ。」
サザエが苛立った様子で書類をテーブルに置きます。
フネは困惑した表情を浮かべながら、手を膝のうえで握りしめました。
「そうね……カツオが行方不明では、遺産の分け方を決めることもできないわ。」
「本当にどこに行ったのかしら、お兄ちゃん。」
ワカメが小さくため息をつきながら呟きます。
「数年前にふらっと家を出たきり、連絡も途絶えたままだなんて……どうしてこんな時にいないのよ。」
弁護士が重い空気の中、静かに口を開きました。
「皆さん、現状では、行方不明のカツオさんを含めて遺産分割を進めるのは非常に難しいです。法律上、行方不明者がいる場合、その人を見つけ出さない限り遺産分割は進められません。」
「じゃあ、どうすればいいんですか?」
サザエが弁護士に詰め寄るように聞きます。
「一つの方法は、カツオさんを『失踪宣告』によって法的に亡くなったとみなす手続きを行うことです。ただし、それには失踪から7年が経過している必要があります。」弁護士は冷静に説明します。
「7年!?」サザエは思わず声を上げました。
「そんなに待たなきゃいけないの? その間、私たちは何もできないってこと?」
「そうなります。ただし、家庭裁判所に申立てを行い、カツオさんの相続分を一時的に保留する形で手続きを進めることも可能です。しかし、それでも分割の自由度は限られます。」弁護士は続けました。
フネは深くため息をつき、テーブルに視線を落としました。
「お父さんが、もし生前に遺言を残してくれていたら、こんなことにはならなかったのかもしれないわね……。」
弁護士は静かに話を締めくくりました。
「行方不明の相続人がいる場合、遺産分割が複雑になることはよくあります。波平さんの遺言があれば、このような問題を避けることができたでしょう。これから発生する相続に関しても、ご家族でしっかりと考えていくことをお勧めします。」
フネは深く頷き、重い空気の中、静かに決意を固めました。
「お父さんのことを教訓にして、これから家族の未来を守る準備を進めましょう。カツオがどこかで無事でいてくれることを祈りながら……。」

