子どもがいない場合の相続…争いの火種にも
波平は庭先で植木を剪定しながら、ふと隣の家を見上げました。その家は数年前まで仲睦まじい老夫婦が住んでいましたが、夫婦ともに他界し、今ではすっかり空き家になっています。
「お父さん、どうされたのですか?」後ろからフネが声をかけました。
「いや、隣の家のことを考えていたんだ」波平は振り返らずに答えました。「あのおじいさんとおばあさん、亡くなった後で兄弟たちが相続でもめた話を覚えているか?」
フネは静かに頷きました。「ええ、覚えていますわ。お子さんがいなかったから、財産全部を兄弟が相続することになって、それでもめたんですものね」
波平は鋏を置き、深いため息をつきました。「ワシらには子どもがいるからまだよいが、あの家の兄弟たちは、おじいさんが残した土地や財産を巡って大騒ぎだったそうだ。結局、裁判沙汰になってしまったと聞いたよ」
「そうですね……。子どもがいない場合、誰に財産を残すかをしっかり決めておかないと、兄弟や親族同士が争いになることもありますね」フネは少し寂しそうに言ました。
波平はしばらく黙った後、静かに口を開き「相続というのは、残された人たちにとって利益になるものだと思っていたが、時には争いの火種にもなるものだな。あの夫婦も、自分たちがいなくなった後で、こんな事態になるとは思わなかっただろう」
フネは波平の隣に座り、庭を見つめながら言いました。「お父さん、だからこそ遺言が大事なのですよ。自分の意思をきちんと残しておけば、残された人たちがもめることを防げますわ」
波平はゆっくり頷きながら、視線を隣の家から自分たちの家に戻し「そうだな……ワシらにはサザエやカツオたちがいるが、それでも何が起こるかわからん。あの夫婦のようなことにならないためにも、しっかり準備をしておくべきだな」
「ええ、私たちも動けるうちに準備しておきましょう」フネは優しく微笑みながら波平に言いました。
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