土地や財産を巡って裁判沙汰に発展も?…子どものいない人こそ「早めの相続準備」が必要なワケ【終活コンサルタントの助言】

土地や財産を巡って裁判沙汰に発展も?…子どものいない人こそ「早めの相続準備」が必要なワケ【終活コンサルタントの助言】
(※画像はイメージです/PIXTA)

複雑な遺産相続の場面において、親族間での争いを回避するためには事前の準備が肝要です。多くの方に親しまれている「磯野家」をモデルケースに、揉めてしまう相続の共通点を確認していきましょう。本記事では、終活コンサルタントの長谷川裕雅氏の著書『磯野家の家じまい』(リベラル社)より一部を抜粋・再編集して、子どもがいない場合の相続とその対策について解説します。

子どもがいない場合の相続…争いの火種にも

 

波平は庭先で植木を剪定しながら、ふと隣の家を見上げました。その家は数年前まで仲睦まじい老夫婦が住んでいましたが、夫婦ともに他界し、今ではすっかり空き家になっています。

 

「お父さん、どうされたのですか?」後ろからフネが声をかけました。

 

「いや、隣の家のことを考えていたんだ」波平は振り返らずに答えました。「あのおじいさんとおばあさん、亡くなった後で兄弟たちが相続でもめた話を覚えているか?」

 

フネは静かに頷きました。「ええ、覚えていますわ。お子さんがいなかったから、財産全部を兄弟が相続することになって、それでもめたんですものね」

 

波平は鋏を置き、深いため息をつきました。「ワシらには子どもがいるからまだよいが、あの家の兄弟たちは、おじいさんが残した土地や財産を巡って大騒ぎだったそうだ。結局、裁判沙汰になってしまったと聞いたよ」

 

「そうですね……。子どもがいない場合、誰に財産を残すかをしっかり決めておかないと、兄弟や親族同士が争いになることもありますね」フネは少し寂しそうに言ました。

 

波平はしばらく黙った後、静かに口を開き「相続というのは、残された人たちにとって利益になるものだと思っていたが、時には争いの火種にもなるものだな。あの夫婦も、自分たちがいなくなった後で、こんな事態になるとは思わなかっただろう」

 

フネは波平の隣に座り、庭を見つめながら言いました。「お父さん、だからこそ遺言が大事なのですよ。自分の意思をきちんと残しておけば、残された人たちがもめることを防げますわ」

 

波平はゆっくり頷きながら、視線を隣の家から自分たちの家に戻し「そうだな……ワシらにはサザエやカツオたちがいるが、それでも何が起こるかわからん。あの夫婦のようなことにならないためにも、しっかり準備をしておくべきだな」

 

「ええ、私たちも動けるうちに準備しておきましょう」フネは優しく微笑みながら波平に言いました。

 

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※本連載は長谷川裕雅氏の著書『磯野家の家じまい』(リベラル社)より一部を抜粋・再編集したものです。

磯野家の家じまい

磯野家の家じまい

長谷川 裕雅

リベラル社

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